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水晶薔薇庭園館綺譚11 お茶の時間(7月上旬~中旬)

 次の場所へ移動中に別の場所に向かったはずのシリアが立ち往生していた。
 
 聞くと書類に記入されている場所が、現実の場所と食い違いが生じているらしい。
 改めてその書類を見るとかなり具体的に書かれているに関わらず、若干とも言えない誤差があり場所が特定できなかった。
 
 この区域に詳しいもう一人に確認を取っても、大まかな場所しかわからず首をひねっていた。
 
 書類に記入されている場所と実際の場所で食い違いが生じること自体は珍しいことではない。
 時には通路が塞がっていて、通れなくなっていることもよくある。
 しかしこうまでも場所が特定しにくく、行くこともできないのも珍しかった。

「困っているみたいだね」

 三人でどのようにアプローチしたらよいかを討議していたら、ザドキエル様に声を掛けられた。
 よく見たらザドキエル様の部屋の前で、どうやら三人でいつまでも話しているのに疑問を持たれたらしい。
 うかつだった。

 こちらが何かを言う前に書類をのぞきこみ、

「ああ、ここはこっちから行くよりも向こうのほうから、こうアプローチしたほうがわかりやすいよ」

 そうアドバイスを頂いた。
 だめだな。
 もう少しこのステーションの構造を実際に歩いて把握しておかないと、この仕事に支障がでてしまう。
 次の休み時間にでもこのあたりを散策して実際どうなっているか把握しておかないと。

「せっかくだからお茶でもどう?」

 お礼を述べて立ち去ろうとしたら、そう声を掛けられた。

「ありがとうございます。残念ながら今は仕事が立て込んでおりますので、次の機会にでも」
「わかった。じゃあ、必ずおいでね」

 そうしてその場で話は終わったと思っていた。


 思っていたのになぜ結局お茶をする羽目になっているのだろう。
 淹れていただいたお茶を受け取りながら思わずため息が出そうになり、慌てて飲み込んだ。

「エル・フィン、悪いけど帰る前にザドキエルの部屋に寄っていってほしいのだけど」
 
 シフトが終わってクリロズに帰ろうとしたときに、そうトール師に言われて何か特別なトラブルが出たのであろうかと覚悟して訪問したところ、用意されていたのはお茶の用意一式だった。

「待てど暮らせど、ちっとも来ないからトールにお願いした。お茶に来るって約束しただろう?」

 そう悪びれもなく言われて脱力する。
 こちらとしてはあの口頭での会話で約束したことになるのか?と、思わなくはない。
 まあ、これでザドキエル様が満足するならそれでもいいか。
 だがもうしばらくしたらレオンが学校から帰ってくるから、それまでに辞去することを心に誓う。

 ザドキエル様はというとこちらを見ながらにこにこと向かいでお茶を飲んでらした。
 なんとなく居心地が悪い。

「まさかこうやって一緒にお茶ができる日が来るとは思わなかったなぁ」

 しみじみ言われてさらに居心地が悪くなる。
 
「そうですね」

 思わず憮然として答えてしまったが、気にされる様子もなくさらににこにことしていらした。

「そうそう、いま子供を育てているんだって?紹介してくれる気はないのかな」

 そう聞かれて思わずザドキエル様を見返した。
 誰に聞いたんだろう、と思いつつ下を含めて何人かを思い浮かべる。
 最も誰かに聞かなくても、立場上レオンのことはすでに把握していておかしくない。
 
「気になるならご自由に会いに行ってくださって構いません。クリロズにいますし、ステーションの魔法学校にも通ってますから、どこかで会うことは可能だと思います」
「そうでなくて、君から紹介してもらって逢うことに意味があるんだよ」

 言われて思わず「そういうものなのか?」とも思う。
 いまいちぴんと来ない。

 それをどう思われたのか、ザドキエル様は話題を変えてくださった。

「このエリアに来ても羽は出さないんだね?」
「邪魔ですから。必要な時には出して飛んでますよ」

 通常あまり羽を必要と思わないし、実際に出してないことのほうが多いのでどうしてもあるとあると不自由を感じてしまうので、出さないようにしていた。

「一人だけ羽がないのを見るとどうも……」
「別に一人だけ浮くことには慣れてますから」

 思わず言ってしまった言葉にザドキエル様の顔が曇るのを見てしまったな、と思う。
 そういう意味で言ったわけではなかったのだが。

「出したほうがいいなら今この時間は出しましょうか」

 思わず聞いてみてしまったら、笑顔で肯定されてさらに後悔する。
 仕方がない。
 自分で降った話題だ。

 ばさり、と紫色の羽を出す。
 だいぶ色が明るくなっているなと自分でも思う。
 最初に下に見られたときは黒と見紛うばかりだったのに。

 この天使エリアで色つきの羽をもっていることはあまり特別なことではない。
 逆に羽がないことのほうが目立つのだが、自分の出自を詳しく話していない以上、あまりこの羽を出す気にはなれなかった。
 最も上層部には自分のことなどお見通しであろうことは分かっている。
 羽を出していれば、見る人が見れとどの方の系列であることは間違いなく感知されてしまうだろう。
 それが煩わしい。 

 そうはいっても同行する部下には見せることもあり、なぜ出したままにしないのかとは何度か聞かれていた。
 いつも慣れてないから邪魔に感じるからと伝えていたが。

 そのまま静かにお茶を飲む。
 そしてふと、これが昔好きだった種類のお茶なのに気付いた。
 よく******が入れてくれていたものだった。
 ザドキエル様なりに気を使ってくださったのかもしれない。 

「あのね、*****」
「その名では呼ばないでください!」

 大昔の名を呼ばれ思わずキツイ口調で遮ってしまった。
 ザドキエル様もびっくりされている。

「まだ、駄目なのかい?」
「いえ、そういうわけでは……」

 思わずこちらもうろたえる。
 自分が思った以上の拒否反応にまだ傷が癒え切ってないのを自覚する。

「……。すみません。下がまだ思い出していないので……」

 つい変な言い訳をしてしまう。
 実際下はまだあの頃の名を思い出していなかった。

 今とは違う名であることは知っているが、うまく引き出せないでいた。
 理由はなんとなくわかるのだが……。

「構わないよ、こちらも不用意にあの頃の名を呼んでしまって悪かったね」

 そうザドキエル様はわらって許してくださった。
 俺は改めてすみません、と言ってそのまま黙々とお茶を飲んだ。

「で、いつになったら君の愛しい子に会わせてくれる?できればこちらに連れてきてくれるとうれしいのだけど」

 また不意に話題が最初に戻って思わず違う意味で憮然とする。
 このまま適当にごまかすと、会うたびに言われるんだろうな、と予測する。

「もう少しあの子が大きくなってから、です。このエリアに入れるかどうかも含めて色々とありますから」

 仕方なしにそう答える。
 そもそも今レオンも学校に行き始めたばかりだった。
 あまり違う波動の場所に入れて、負担をかけさせたくない。

「でも聞いている限り、もともとその子も天使エリアには順応できるはずではないのかな?」
「そうですね。もともとを考えると可能性はあります。でも今はまだそれを確認する段階ではないと思います」

 話を聞いてやっぱりミカエル様が色々と話をされたのだろうと見当をつける。
 まったくあの人は。

「それでも緩衝エリアまでなら連れて来れるのではないかな?」
「……。わかりました。仕事の波が納まったらそこに連れてきます」

 どうしても俺から連れてくると約束をさせたいらしいザドキエル様にそう答える。
 そう言えばそろそろ学校が終わる時間だ。
 約束しているから帰らないと。

「ではそろそろお暇させていただきます。ごちそうさまでした」

 そう言って茶器を置いて立ち上がる。
 
「エル・フィン」

 そう呼ばれて優しく抱きしめられる。
 懐かしい感覚にふと大昔を思いだす。

「君も私たちの大切な子どもなんだよ。特に私にとっては本当に。それを忘れないようにね」

 真剣にそう言われれ、思わず笑ってしまった。
 何を心配されていると思えばそういうことかと納得する。

「大丈夫ですよ、分かっていますよ」

 そう言って心から笑ってみせる。
 誰が何といってもこうやって抱きしめられると自分はこの方の子供だというのを感じる。
 昔はそれが嫌でたまらなかったが、今はもうそうでもない。
    
 それを見て感じて安心されたのか、ザドキエル様も満足そうに微笑まれた。

 ゆっくりとその方の腕の中から離れる。

「では失礼します」

 そう言ってまた羽をしまう。
 それを残念そうに見ているのを感じる。

「また、お茶をしにおいで」

 扉を開ける前にそう言われる。

「仕事に余裕があれば」

 そう答えてその部屋を辞去した。

~・~・~・~・~・~

そーして未だに連れて行っておりません。
結局また忙しくなっちゃったしねぇ。

だから、アップしにくいって言ったでしょっ!!
ま、ネット落ちしている人多いみたいだからいいや。

ちなみに催促は来てるけどねぇ。
日食翌々日に催促された時は嫌になりました(笑)
本体ごと敬遠モードにww
上司に諌めていただきました、ってどんな関係……orz

そーゆーわけで、覚悟しておいてください、レオン君。
(こんなところで通達していたりしてw)

*登場人物などに関しましては「水晶薔薇庭園館綺譚について」をご参照ください。

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Comments

えへへへ~、ネット落ち、今日は半日でしたi-235

すごいなぁ・・・本当。
最近、つくづく思います。

>羽を出していれば、見る人が見れとどの方の系列であることは間違いなく感知されてしまうだろう。

うわわわ・・・。そうなんだ。
羽根話はドキドキしちゃいます、ここのところ。
Posted at 2009.08.13 (13:42) by wakka○ (URL) | [編集]
全編通じて、ザドキエル様のエル・フィンさんへの深い愛情が伝わってきました。。。。

知らなかった・・そのザドキエル様から、レオン君コールをいただいていたとは。
日蝕の翌々日、今日のアップ、どちらもレオン本体腰痛の時なのもどういうわけなんでしょぅ。
Posted at 2009.08.13 (13:50) by かほり (URL) | [編集]
> えへへへ~、ネット落ち、今日は半日でしたi-235

あら?お盆は落ちるんじゃなかったけ??

> すごいなぁ・・・本当。
> 最近、つくづく思います。

とりあえずこれでストックゼロですわ。
日食後はほとんど見れてないか、ポツポツです。

> >羽を出していれば、見る人が見れとどの方の系列であることは間違いなく感知されてしまうだろう。
>
> うわわわ・・・。そうなんだ。
> 羽根話はドキドキしちゃいます、ここのところ。

そろそろ尻尾が出ませんか、そちらも。
Posted at 2009.08.13 (20:28) by たか1717 (URL) | [編集]
> 全編通じて、ザドキエル様のエル・フィンさんへの深い愛情が伝わってきました。。。。

うん、それはね、十分に感じましたよ♪これを解凍された時に。

> 知らなかった・・そのザドキエル様から、レオン君コールをいただいていたとは。

ごめんね~。
伝えようがなくてさ~ 苦笑
苦肉の策です。

> 日蝕の翌々日、今日のアップ、どちらもレオン本体腰痛の時なのもどういうわけなんでしょぅ。

……なんでしょうねぇ??
なんかあるのかな??
ザドキエル様のラブコール??  な訳ないなw
Posted at 2009.08.13 (20:31) by たか1717 (URL) | [編集]
おぉ~、ザドキエル様でてきた~♪
レオン君を巻き込んで、話がどんどんでかくなりますね(笑)

そうだ、77カウンターとった記念に何かもらえるのなら

エル・フィンさんとレオンくんとディジーと3人でデートしたいです(爆)

(↑おねーたん・・・何を考えているんだ!?)

出来るならでいいです☆
ふふふ
Posted at 2009.08.14 (07:26) by *ひなた* (URL) | [編集]
>そろそろ尻尾が出ませんか、そちらも。

タイトル通り、全然さっぱり~~i-179(気持ちは満面の笑みで)

自慢になりませんが、開き直って、
しばらく投げておくことにしました~~(大笑)
Posted at 2009.08.14 (10:50) by wakka○ (URL) | [編集]
> おぉ~、ザドキエル様でてきた~♪
> レオン君を巻き込んで、話がどんどんでかくなりますね(笑)

話をでかくしたい訳じゃないですけどね(苦笑)

> そうだ、77カウンターとった記念に何かもらえるのなら
> エル・フィンさんとレオンくんとディジーと3人でデートしたいです(爆)
>
> (↑おねーたん・・・何を考えているんだ!?)

はぁっ??

> 出来るならでいいです☆
> ふふふ

・・・・・・いや、別に良いんですけどね。
何時、子連れ引率どこに行きましょう?
Posted at 2009.08.14 (11:58) by たか1717 (URL) | [編集]
> >そろそろ尻尾が出ませんか、そちらも。
>
> タイトル通り、全然さっぱり~~i-179(気持ちは満面の笑みで)
>
> 自慢になりませんが、開き直って、
> しばらく投げておくことにしました~~(大笑)

ま、そう言う時期もありますね~。
こちらも綺麗さっぱり出てきておりませんので(苦笑)、困ったものです。
自己ヒプノでも習おうかな~。
Posted at 2009.08.14 (12:00) by たか1717 (URL) | [編集]
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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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