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水晶薔薇庭園館綺談6-1 剣指南(6月上旬)

「そうか、じゃあ今度見学につれておいで。勉強になるだろう」

 クリロズの館内に戻って来て、剣の指南の最中に言われたことをもう一度思い出す。
 そう、総指揮官でもあるトール師に言われた以上、断る理由もみつからなかった。

 弟子でもあるレオンにこんなやられまくりのみっともない状態を見せるのは、気が進まなかったが、何より勉強になることは確かだった。

 まだ剣を教え始めたばかりなのに呑み込みの早さはこちらも驚くほどだった。
 何よりエネルギーを見て直観的に動くそれは、天性のものであった。
 きっちり基礎を教えてやれば、どれだけのものになるか今から楽しみでもある。

 レオン。
 かつての級友であるルーシェンスの末の息子であり、ルークァンスの甥にあたり、もしあのまま平和な時が流れていれば学校で教えることになったであろう男の子。

 あの時にもその才能は飛びぬけていたため、こちらも教えるのをひそかに楽しみにしていたのだった。

 しかし世の流れはそうはならなかった。

 ステーションのイベントで再会した時、ひそかに何も思い出さなければそのままで終わるつもりでいたが、あの子は記憶の扉をこじ開けて、自分のもとにきた。

 念のため以前保護者だった、まだ本体が思い出していなかったために喪に服していたルークに事情を話したところ、

「あの子は君の憧れていたんだ。君が指導してくれたらあの子はすごく喜ぶだろうね。お願いしていいかな」

 とルーシェの記憶を本体から引っ張り出してそういった。
 それ以来自分が面倒を見ることになっている。


「おかえりなさいっ!」

 扉を開けたとたんにそう言ってレオンは飛びついてきた。
 まるでそこにいることを確かめるかのようにギュッとしがみついてくる。
 一度それを無理やり引きはがしたら、大きな泣きそうな目で遠慮がちにそっとくっついてきたり、服の裾をつかんだり、まるで存在を確かめるかの様に一日中ついて回ったのに閉口し、次からは気が済むまでさせてやることにしていた。

「ただいま。いい子にしてたか?」

 そう聞くとうなづくのを感じる。
 奥に目をやるとルークが苦笑して見ていた。
 どうやら課題を見てもらっていたらしい。

 机の上のそれを見るとどうやら指示した分の半分くらいしか出来ていないようだった。
 本来の実力なら出来ているはずなのだが、ルークがきっと遊びに連れて出たか、レオンが途中で飽きてしまったかのどちらかだろう。
 仕方がないと思いつつ、ルークに礼を言って残りの課題を片付けさせる。


「今、トール師匠に改めて剣を指南してもらっているんだけどね」

 その日の終りに突然言い出した自分にレオンは何事かという目でこちらを見た。

「一度見学に来ないか?きっと参考になると思う……」

 そこまでいった後は言葉にならなかったのは喜んだレオンが抱きついてきたからだった。


~・~・~・~・~・~・~・~

長かったののぶっちぎりました。
昨日の夜に暗い話をアップしたので、明るい話を。
もうちょっと後にアップする予定でしたが。

ちなみにこれ、自力であまり思い出していません。
情けない。

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【銀月物語 74】 ヒカリの子

「右脇が甘いぞ」結界を張ったクリロズの裏庭で、トールの攻撃がエル・フィンを狙う。はい、と答えながら、部下は手に握った木の枝で突きをはらった。対するトールの武器も、そのあたりに落ちていた手ごろな木の枝である。「そうだ、ステーションの例の件は解決しました」...

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参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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