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ただの物語18 出立3

で、一日開きましたが続きです。
はーい、あの子が出てきます。

注:これはただの物語です。
  さらっと流してくださいね♪


******


 ふと眼を覚ますとそろそろ空が明るくなる時分だった。
 ゆっくりと持たれていたシェーンから身を起こす。

「早いな、起きたのか?」

 それに気付いてシェーンが声をかけてきた。

「まあね、いつもの習慣」

 そう答えて伸びをする。
 一応退役したことになっていたが、体が鈍ると困るので、夜明け前に起きだして体を鍛えることを日課としていた。

 外を見るとようやく日の昇る方角が白み始めていた。
 出立は日が昇った後。
 今から待ち合わせの場所に行けば十分間に合うはずだ。

 わずかな移動用の荷物を背負い、もう一度ぐるりと部屋を見渡す。
 思ったより長く居ることになった住居ともこれでお別れだった。

 シェーンを促して外に出る。
 鍵を掛け、指定された隠し場所にその鍵を入れた。

 そして丘に向かって歩き出そうとして、行く先に小さな人陰があるのに気がついて足を止める。
 
 こんな朝早くに誰だろう?と思ってよくみたら、ルーシェの息子のレオンだった。

 こんな時間に何故こんな小さな子供が来れたのかも不思議だが、なぜかすごく怒っているようで俺を精いっぱい睨みつけていた。

 ふと気配に気づいて目線をずらすと建物の陰にルーシェがいるのが分かった。
 わざわざ連れて来て待っていたのか?

「おい、エル・フィン」

 シェーンがそう声をかけた。

「悪い、先に行っていてくれ」

 そういってレオンに向かって歩き、膝をついて目線を合わせた。

「どうした?何があった?」

 静かにそう聞く。

「どこにいくんだよっ!」

 するとレオンはそう、精一杯怒った声で聞いてきた。
 しかしその眼は不安に揺らいで、今にも泣きだしそうだった。

「遠いところ。仕事で行くんだ」

 そういうとさらに不安そうに俺を見る。
 それでも泣いてはいけないと思っているのだろうか、懸命に俺を見る。

「戻って……、来るよね?僕に色々教えてくれるんだよね?」
「わからない、約束できない」

 本当なら嘘でも『戻ってくるよ』と言ってあげた方がいいんだろう。
 しかしこの子は直感でそんな嘘は見破ってしまうだろう。
 そういうところが鋭いのは分かっていた。
 だから俺も正直に言うしかなかった。

 レオンはそれを聞くと下を向いてうつむいた。
 泣くのをこらえているようだ。

「ごめんな」

 そう言って頭に手を載せてなでる。

「~~~~~~~~っ」

 堪え切れなくなったのか、声を殺して泣き始める。
 これにはこちらも参ってしまった。

 ふと、机の上に置いてきたおもちゃを思い出す。
 これくらいの距離なら移動魔法で取り寄せれるだろう。

 スペルを描き、手元に移動させる。
 そしてレオンの手をとり、掌に載せてやる。

 びっくりしたようにレオンが涙でぬれた目をこちらに向ける。
 そして掌の中のものを見る。
 うれしそうな輝いた瞳でこちらを見るのに和んで思わず微笑む。

 そうしてもう一度頭をなでると立ち上がった。

(ルーシェ、ちゃんと連れて帰れよ)
(わかっている、ありがとう)

 そうルーシェと心話ではなす。

 そして俺はレオンを置いて、シェーンの後を追って丘へと急いだ。
 

「サービス満点だな、本気で嫁に貰う気か?」」

 丘へ行く途中の道で追いついてから、隣に並んで黙々と歩いている最中に、シェーンが突然そう言った。

 思わず何もない所で転びそうになる。

「おい」

 怒った口調で思わずそう声をかけると、くくくっと笑った。

「冗談だ。あまりにもあの子にサービスが良いんでね、ちょっとからかってみたくなった」

 そう面白そうに言われて微妙に思う。
 そうだろうか?自分では自覚がないのだが、普通あれくらいの子供にはそれくらい構うものではないだろうか。

 丘につくと張ってあった結界の一部を解除して中に入る。
 人型になれないドラゴンのため、目立たないように張っておいたものだ。
 もちろん入口はもう一度結界を敷く。

「おせーよ隊長、待ちくたびれたよ」

 入った途端にそう声をかけてきた。

「早いな、ブラウン。ひょっとして昨晩からいたのか?」

 彼は自分のドラゴンにもたれて、足を投げ出して座っていた。

「あたりめーじゃん?別に別れを惜しむ相手もいないし?イライラ部屋にいるの性分じゃないし?」
「とか言って、実際は別れたくない女がいて、メソメソしそーだから逃げてきただけだろ」

 別のほうからも声が飛ぶ。

「るさいぞ!ゼイン!それはてめーだろ!このまま何も指示がなく忘れられているようならここで嫁を貰ったほうがいいのかどうか悩んでいたろ!」
「それは済まなかったな。残念ながら我らが指揮官は俺たちのことを忘れたわけではなかったよ」

 そう言ってぐるりと見回す。
 向こうにいるのはいつも寡黙なザハト、あちらにもすでに紅一点のアリシアが来ていた。
 自分を入れて6人編成の小隊は気の置けない、しかし行動力と決断力が素早い頼もしい連中だ。
 
 あと一人、と思ったところで後ろに気配がする。
 反射的に短剣を抜いて相手の首に寸止めする。

「隊長~~~、かわいい部下に向かってそれはないっしょ」

 ごつい熊のような外見のマルスが情けなさそうな声を出す。
 後ろで彼のドラゴンが恐縮して頭を下げている。

「ならば気配を殺して後ろに立つな。次は本気でやるぞ」

 そう言って短剣を鞘に戻す。

「全員揃ったところで、次の目的地だが△△△地区になる。日が昇ってから移動せよ、とのことだ。街の上空を横切らず山のほうから迂回して目指すように指示が入っている。途中に中央に寄って状況確認と指示をもらうことになる。」

 そう上からの指示を伝える。

「△△△地区っていえば、あのあまり良くない噂は本当なのかね」
「じゃなきゃ、わざわざ俺たちを呼び出して、行けとは言わないんじゃないか」
「ちがうでしょ。噂だから私たちが行くのでしょ」

 口々に疑問と突っ込みを口に出す。
 しかしそれを裏付ける話はこちらも聞いてなかった。

「それも確認しろってことじゃないのか?」
「この街の守りはどうすんだろうねぇ」
「それは正規軍が常駐する予定らしい。何もなければいいけどな」

 そう伝えて他に質問は、と確認する。
 どちらにしても上からの指示にここで異を唱えていても仕方がない。
 たぶん上も状況を把握しかねてこちらに話を振ってきているのは間違いがなかった。

 そこに日が昇り、太陽の光が丘を照らした。
 町が目覚め始める。

「では、騎乗。出立する」

 そう声をかけて本来のドラゴンの姿に戻ったシェーンに乗る。
 もう一度街をみた。
 見納め。

 そうして俺はその町には二度と戻ってこなかった。 


******


と、いう訳でお別れの回です。
みんなしてエル・フィンをからかって遊んでます~~~。

つーわけで部下のからかいはカットしましたよん。

ま、受け取り方はご自由に。
 
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Comments

う~~~むむむむ・・・こういうことだったんですねぇ・・・!!5歳児の記憶では全然分かってなかったことが、やっとわかりました。(連れてきてくれてパパありがと~。)
下ろしてくれたたかさんとエル・フィンさんに感謝です。

リンク先はレオン側の記憶です。
<頭に手を載せてもらった時=エネルギーもらってる>とレオンは思ってますが、これは幼少のころにエル・フィンさんにくっついて離れなかった時もそうでしたが、勝手にエル・フィンさんのエネルギーを感じ取っていたんでしょうね~

部下の皆さんは街では何をしていたんだろう~・・・・知ってるおじさんもいたりして。。
部下のみなさんのからかいも聞きたかったな~。
Posted at 2009.07.17 (17:04) by かほり (URL) | [編集]
はーい、そういうことでした~。
納得できてよかったですね♪

> 部下の皆さんは街では何をしていたんだろう~・・・・知ってるおじさんもいたりして。。

皆さんは何していたんでしょうねぇ。

> 部下のみなさんのからかいも聞きたかったな~。

みんなしてレオン君への対応をからかったので、隊長権限で却下しました 笑
でもこの部下さんたちが思い出して、どっかに書いていたらそれはそれでおしまいですけどね。
Posted at 2009.07.17 (21:13) by たか1717 (URL) | [編集]
素晴らしいです。
出立の朝、日の出前の空気が伝わってくるようでした。
そして知らない光景のはずなのに、建物の陰にいるルーシェさんが目に浮かぶようだわ…w
当時のレオン君にとってこれが最期のエル・フィンさんとの思い出になったのですね。。
でもなんで皆にからかわれちゃうんでしょうね…?^_^;珍しいから?
Posted at 2009.07.17 (21:18) by マッチャ (URL) | [編集]
嫁に出したかったんだな(笑)

きっともっとレオンくんが大きかったら押し付けていたような気もする・・・i-237
Posted at 2009.07.17 (22:20) by wakka○ (URL) | [編集]
> そして知らない光景のはずなのに、建物の陰にいるルーシェさんが目に浮かぶようだわ…w

ってことは実はこういうことは初めてではないってこと?

> でもなんで皆にからかわれちゃうんでしょうね…?^_^;珍しいから?

珍しいからです。
出来るだけ一線を引いてあまり思い入れをしないように気をつけていたから(笑)
真面目でしょ~~~。
Posted at 2009.07.18 (11:47) by たか1717 (URL) | [編集]
> 嫁に出したかったんだな(笑)

出さないでくださいってばv-356

> きっともっとレオンくんが大きかったら押し付けていたような気もする・・・i-237

それはそれでまた困ったことになっていたでしょうねぇ。
しみじみ。
Posted at 2009.07.18 (11:49) by たか1717 (URL) | [編集]
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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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