スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

紅緋古譚 36 標本

 ふと、何かに気づいて目を開けた。

 ここはどこだろう。

 私は……?

 ぼんやりとして分からない。

 そして視界に何かが目に入った。
 人影。
 白いぼんやりとした。

 こちらを見上げているようだ。
 なぜ、私は見降ろしているのだろう。

 そいつは何か話しかけているようだった。
 でも聞こえない。

 そして再び闇へと堕ちていく。



 次に目を開けた時、私が液体の中に居るのを感じた。

 ここはどこだろう。
 私は。
 私は死んだのではなかったのか。
 戦場で。

 ふと右に目をやる。

 腕が。

 無かった。

 いや、肘まではある。
 筋肉がむき出しだが。
 その先は切り取られたようにない。

 左も似たような状況だった。
 こちらは筋肉も無く、何故か細かい網目状の何かが腕の形になっていた。

 まるで虫ピンで留められた標本のようだった。

 そして、からだ。

 わずかに膨らんでいた胸が無かった。

 感触として。

 内臓が水に浸かっているような感覚だった。

 どうやら開けられて、全て見れるようになっているようだった。

 そこまで気付いて、ふと疑問に思う。
 私は生きているのだろうか?

「ああ、目が覚めたね」

 そう言う声が聞こえた気がした。
 見ると白衣を着たそいつがうっとりした顔でこちらを見上げていた。

「残念ながら、君にもう自由は無いよ。
 戦えなくなったんだから、仕方ないよね。
 処分されるところを引き取ったんだよ、標本にするからって。
 動く為の神経は首のところで切断されているけれど、感覚神経は残してあるから、どういう状況下は分かるよね?」

 そいつは嬉しそうにそう私に語りかけた。
 話すにしてもこちらは空気さえ、無くどうしようもなかった。

 感覚神経が残っている、と言われてふと感じようとしてみた。

 首の後ろで。

 何か機械に繋がれて、肺への酸素の出し入れを強制的にされている感じがした。

「ああ、本当に君は綺麗だねぇ。外も綺麗だけど、内臓もすごくきれいだ。**が摘出されているのがもったいないな」

 この変態め。
 そう毒づいてやりたかった。

 そのほかにもあちこちピン止めされて、内臓器官が見えやすくされているらしいのは感じた。

 生きた標本。

 そう言うものがあると言うのは聞いていたが。

 このまま、こいつの手のウチで生きるのか?
 こんな何も出来ないまま、感覚だけ生かされて。

 約束。

 覚えているかな、奴らは。

「ああ、でも@@@@だけ摘出して標本にしても、綺麗だろうね、君は」

 こいつのおかしな話を聞きたくなくて、目をつぶった。

 そう、約束した。
 この変態達の手に落ちたら、必ずとどめを刺しに行くと。
 仲間と、チームと。

 一度私はそれを守った。
 その為に死線へとおくられた。
 その結果がこれだ。

 まあ、いい。
 どうせそう長い事じゃない。

 ゆっくりと一時の暗闇に身をゆだねた。
 変態の語りを子守歌代わりに聞きながら。
スポンサーサイト

Leave a comment

Private :

Comments

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
04 06
最新記事
FC2カウンター
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

たか1717

Author:たか1717
なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。