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紅緋古譚 20 牽制

 夕方に食堂で食事をとる。
 食事も厳重に管理されていて、人によってメニューが違うことがある。
 おれの場合もよくある話だった
 更に薬が一緒に出されることがある。

 それを一人で摂っていた。
 大抵チームの奴らが一緒だが、今回は何となく距離を置きたかった。

 その様子を遠巻きにちらちらとみられているのは知っていた。
 が、出来るだけ無視する。
 気にすればするほど、奴らの付け込む隙を与えるようなものだった。

 変に追い詰められないように、真中で食事をとる周辺は、微妙に空きができ、台風の目のようだった。

 後ろから、近づく音がした。
 誰なのかすぐに分かったが、無視する。

「ルーちゃん、みっけ」

 上機嫌な声が降ってきた。
 同時に抱きつかれる。

「何の用だ?」

 低い機嫌の悪い声で尋ねる。

「あれ?殴らないの?」
「面倒」

 一言だけ返す。
 まったく誰のせいでこれだけ気力体力がなくなっているんだと思うのだ。
 おかげで食事が作戦後の疲労回復食と同じ内容になっている。
 本当にどこもかしこもモニターされていると分かり、ウンザリする。
 こいつへの口止め料など、何の意味も無かったかもしれない。

「まあ、良いや。俺ね、急な作戦で今夜基地を離れることになったから」
「あ、そう。静かになるな」

 内容を聞いておや?と思ったが、急な作戦変更や、仕事が入る事など日常茶飯事だったから、それかと思った。

「ルーちゃん、もう少しこう…。まあいいや」

 情けなさそうな声を出したが、いきなり切りかえる。  
 本当に急ぎみたいで、食事の手を止める。

「だからね、しばらくさみしいと思うけど、浮気しちゃだめだよ。したら相手の奴を酷い目にあわすからね。下手したら殺すかもね」
「…………」

 前半はおれに、後半は周りで聞き耳を立てている奴らに言っているのが良く分かった。
 牽制だった。

『俺に殺されたくなければ、こいつに手を出すな』

 そのメッセージが分からないほど、ここにいる奴らはマヌケじゃないはずだった。
 手を出したら、それ相応の覚悟をしろ。

 こいつにそう言われて手を出せる奴がどれくらいいるのだろう。
 下手におれが始末つけるより、恐ろしい何かがある、と言う感じがひしひしと伝わった。

「わかった?ルーちゃん?」
「誰がそんな事するかよ」

 言ってしまってから、まずい、と思った。
 これじゃ奴のモノだと自ら宣言したようなものだった。

「うん、大丈夫だと思ったけど念のためね」

 そう言うと奴はおれの顎を掴んで、上を向かせた。
 不思議に思って、されるがままになっていたら、いきなり口づけをされた。

 一瞬対応が出来ず固まる。
 同時に周りがザワめくのを感じた。

 その間に終わり、更にかるくわざと派手に音を立ててキスをする。

「じゃあね」

 そう言って奴は走って行った。
 本当に急ぎのようだった。

 思わず見送って、大きなため息が出た。
 そして食事を再開する。

 先ほどまではちらちらと遠慮がちに見ていた視線が、好奇心むき出しの視線に変っていた。

 これ以上何か言われたり、絡まれたりするのを避けるために、急いで食事を詰め込み、薬を飲みくだし、席を立った。

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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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