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紅緋古譚 19 対価3

 ふと気付くと、外は明るくなっているようだった。
 何時だろう。
 見回したが、時刻が分かるモノは視界に入って来なかった。
 だるい上体を起こそうとして、邪魔された。
 重い腕が上に乗っかっていた。

 正確には腕の持ち主に、抱きしめられた格好で寝ていたらしい。
 そのことに気づいて、不機嫌になる。
 更になにをしていたかも思い出し、余計に気持ちが急降下した。

 強引に上体を起こし、部屋を見渡すと、ベッドヘッドに時計があった。
 まだ午前中だ。
 しかも早い時間帯だ。
 午後からの訓練には十分に間に合う。
 だが、思ったより体が重くて、ため息がつく。
 そのまま奴の腕とベッドから抜け出そうとしたら、腕に力が入り、強くひきとめられた。

「もうちょっと、一緒にいてくれても良いんじゃない?」

 いきなり声をかけられる。
 そちらを向くと、そいつがこちらを見ていた。

「五月蠅い。約束は一晩だ。今は朝だからもう無効だ」
「ルーちゃん連れないなぁ」

 強引にベッドと奴から抜け出す。
 床に散乱した脱がされた服を集め、着ようとして体が汚れているのに気付いた。
 
「シャワールームはどこだ?」

 ベッドの上の住人に聞いた。
 奴は肘をついてこちらを眺めていた。

「そっちの扉」
 
 指差した方を見てそちらに向かう。

「借りるぞ」

 中に入る前に、振り返って一言だけそう言う。
 が、いつの間にか奴が側に立っていて、驚く。
 
「どうせなら一緒に浴びよ?」

 言われて強引に中に押し込められる。
 ウチの宿舎と違い、二人でも十分な広さがあった。
 だがこの空間に奴と二人きりと言うことに、身体が震えた。
 反射的に嫌悪感がわき上がる。

「本当にルーちゃんは、ろくでもない経験の方が多いんだねぇ」

 震えの意味を正確に読み取って、ため息交じりにそう言われる。
 思わずムカついて睨む。

「ここにいて、ロクでもない経験をしない奴などいるのか?」
「確かに、難しいねぇ」

 苦笑すると同時に、シャワーが降り注ぐ。
 がおれは奴に壁に追い詰められた。

「おい、約束が違うぞ」

 反射的にでる怯えを隠してそう言う。

「うん、後で何かするから、先にやらせて?」

 そう言うと強引に引き寄せられ、唇をふさがれる。
 こいつはやること強引な割に、優しさがある。
 それでおれは思わず抵抗するタイミングを逃してしまった。

 深い口づけを角度を変えられながら、延々とされる。
 同時に体中を撫でられる。
 的確に、反応する場所を。
 逃げようと体をよじるが、逆に奴を呷っているようだった。

「足、開いて」

 耳元でささやかれ、片足を持ち上げられ、バランスを崩しそうになる。
 とっさに手を奴の首の後ろに回して、支える。
 すると耳元で笑われた。
 何故かカッと顔が高揚する。

「本当に、可愛い」

 言うと同時に、奴は入ってきた。
 だからと言って、自分の欲望だけ追いかけるわけじゃない。
 こちらの反応を見ている。
 どうしていいのか分からず、おれは奴を睨みつけた。


「落ちついた?」

 そう聞かれるが、まだ答えられなかった。
 軽き息がまだ切れているし、体はぐったりとして自分で支えられず、奴にもたれかかったままだった。

 その間中奴は何も言わずおれの体を洗った。
 体の奥の汚れまで処理されて、一瞬戸惑う。
 しかしそいう言う意図なくして触れる奴の手は、悪くなくて、されるがままになっていた。

 シャワーが乾燥に変ってしばらくしてから、ようやくおれは体を離して、一人で立った。
 
 あまりの自分の失態に奴の顔が見れなかった。
 くやしい。

「ねえ、さっきの対価だけど……」

 いきなり奴はそう言った。

「こーゆー可愛いルーちゃんの媚態を口外しない、ってことで手を打たない?」

 言われて反射的に睨む。

「どういう意味だ?」
「あのね、俺は今、昨晩からさっきまでのルーちゃんの可愛い姿を自慢したくて仕方ないんだ。
 どんなに気持ち良かったかもね。
 でもルーちゃんはそれは知られたくないでしょ?」
「当たり前だっ!」

 んなことばらされたら、余計に周りがうるさくなるだろうことは分かった。

「だからね、さっきのは口止め料ってことで」
 
 にこやかに言いきるそいつを睨んで、おれはシャワールームを出る。
 そして問答無用とばかり、さっさと服を身につける。

「本当に情緒がないねぇ……」

 ドアのそばで腕組をして裸のままのそいつが言う。

「おれにそんなもん、求めるなっ!」

 反射的にそう怒鳴りつける。

「さっきので契約成立?」

 もう一度奴が聞く。
 思いっきり睨んで言う。

「ああ、それで良い。一言でも漏らしたら、命は無いぞ」
「しません。勿体ないしねぇ」

 そういって笑う奴を無視して、寝室を出て、更に部屋を出ようとする。
 が、ウチ鍵の開け方が分からず戸惑う。
 横から奴の手が伸びて来て、あっという間にカギが開く。
 思わず振り返って睨む。
 奴は下だけ履いた格好をしていた。

「またね、ルーちゃん」

 言葉と一緒にキスをされる。
 反射的に手が出る、が、逃げられた。

 おれはそこから飛び出した。


 途中何人かが好奇の目を見ていたのを無視し、自分の部屋に飛び込む。
 後ろでカギを掛ける、と、いきなり震えが来る。

 気持ち悪さが膨らむ。
 でも吐くほどでもない。

 そのままベッドに転がりこみ、上掛けを体に巻きつける。
 震えと寒気が来るのをやり過ごす。

 でもレイプされた時ほど酷くないのは、うすうすわかった。
 
 ただ身体が疲れていた為、そのまま眠りに着いた。


 扉を叩く音で目が覚める。
 時間を見ると、訓練時間の1時間前だった。

 そろそろ起きて食事をしないと。
 午後からの訓練に空腹のまま参加するなど自殺行為だった。

 扉が叩かれ続ける。
 なんとか起き上がって扉の方に行く。

 先ほどより大分ましだった。

「おい、大丈夫か?」

 扉を開くと、オーカーがそう聞いた。

「うん、まあ、ちょっと疲れているだけだから」
「珍しく酷い顔だぞ?」
「大丈夫だ」

 反射的にそう返す。
 すると薬を差し出された。

「途中で“影”にあった。これを追加で飲めと言っていたぞ」

 言われてそれを手に取る。
 まったく、どんどん薬の種類が増えるな。

「食事は?」
「まだ、行く」

 そう言ってオーカーと一緒に食事に向かった。

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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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