スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

紅緋古譚 1 はじまり

 子供の頃は父と兄とで住んでいた。
 小さな一軒家。
 ハウスキーパーのおばさんと料理人のおばさんが居た。

 母は幼いころに亡くなった。
 家にいるところに暴漢が押し込んだのだ。
 母は私を庇って亡くなった。

 それからその家を出て転々として、今の小さな家に落ち着いた。

 ある時期から兄が体術を習うと言うので、私も、と我儘を言って習いに行った。

 とーさまは
「この辺りは危ないから、出来ておいた方がいいだろう」
 と仰っていた。

 にーさまには
「危ないから、相手をひるませたら、とどめを刺そうと思わずにさっさと逃げること!」
 そう言われた。

 体術は面白かった。
 色々な事が出来、あっていう間ににーさまも追い抜いていった。
 道場でも上位を争うくらいになった。

 そのころからにーさまは時々私に意地悪を言うようになった。


 ある時、独りで家にいると何人もの風態の悪い男性が家に踏み入ってきた。
 母が亡くなった時と同じだ。

 私を見つけると腕を捕まえて

「恨むんなら、お前の父と兄を恨むんだな」

 と言った。

「へぇ、結構上玉じゃないか?どうせなら俺達で先にいただかないか?」
「へへへ、それで良いかもしれないなあ」

 そう男たちが言っていた。
 意味は分からなかったけど、ただ嫌な感じがして怖かった。

「おら、てめぇら、辞めておけ。生娘だからこそ高く売れるんじゃねぇか、このご時世。
 てめぇらの手にかかったら半値になっちまう。
 そうしたら分け前なしにするぞ」
「ちぇ~っ、もったいない。ま、店で仕込み係りに入るのも良いかもな」
「どこぞの上客にしゃぶられたあとでもな」

 そう言って下卑た笑いをあげていた。

 何となく分かった。
 この狂った町では良くある話だった。
 何かの代わりに女性や子供が売られる話。
 
 そこに入ると薬漬けにされ、壊れるか死ぬまで出てこれないと言われていた。

 女性は独りで出歩いちゃいけいない。
 下手したらそこへ拉致られる。
 危険だから、とよく言われていた。

 私は怖くて身がすくんだけど、それでも機会を探していた。
 体術で一瞬の隙を付けば、幾ら屈強な男たちからでも、逃げられるはずだった。

 相手は女の子一人と気を緩めている。

 その機会は来た。
 思いっきり急所を蹴りあげてやった。
 手が離れる。
 思いっきり走り出した。

「くそっ!このアマ、上等じゃねーかっ!」

 背後でそんな声が聞こえた。
 わき目もふらずに走る。

 でもどこに行けばいいのだろう。

 とーさまの仕事場はここからかなり遠いときいた。
 何処にあるかよく知らない。
 もっと聞いておけばよかった。
 危ないから、と言われて聞かずにいたのだけど。

 にーさまは何処に行ってしまったのだろう。
 昨晩から帰って来ない。

 体術を習っている道場に行った。
 扉が閉まっている。
 叩いても誰も反応してくれない。

「居たぞっ!」

 言われてまた走り出す。
 息がきれる。
 何処に行けばいいのだろう。

『****軍 *****訓練所』

 そう言うのが目に入った。
 道場の男の子たちが、憧れと畏怖と怖れをもって話す場所。
 危険だから、私は近づいちゃいけない、と言われていたけど。

 でも、後ろにつかまるのは嫌だ。
 だからそこに飛び込んだ。

「何の用だ?」

 入口の人が冷たい目でこちらを見る。

「ここに入れてくださいっ!お願いします!」

 必死に言った。
 後ろで「見つけたぞ」と声がする。

 入口の人は冷ややかに見て、中に入れてくれ、そしてその男たちに対応する為に外に出ていった。

 ほっと一息ついた。

 これが地獄から逃れたと思って、煉獄に踏み入れた時だった。


++++++

時間軸的に、話の一番最初。
他にも幼いころの話はあるけど、メインの流れじゃないので、その内に外伝的に。

取りあえずただのお話し、としておいて下さいませ。

スポンサーサイト

Leave a comment

Private :

Comments

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
09 11
最新記事
FC2カウンター
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

たか1717

Author:たか1717
なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。