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ただの物語66 Angel 歌声

「歌」と聞いて思い出したもののひとつ。
今上が“フィン”だから思い出せたのかな~?

これはただの物語です。
 さらっと流して下さいねw

******

 親が来たときに特に大好きだったのは歌を歌ってくれたこと。
 広く広がる声じゃないんだけど、優しくて気持ちよくて大好きだった。
 親が歌うとテスやみんなは寝ちゃうけど、僕は嬉しくてずーっとそれを聞いていた。
 そして次から次へと歌をねだった。

「フィンは歌が音楽が好きなんだね」

 そう言って寝ずにじーーっと聞いている僕の頭をなでてくれた。
 歌は上手じゃない、と言っていたけどその優しい声と波動はとても気持ち良かった。


 そう、今思えば確かにずば抜けて上手いわけではなかった。
 でもあれは十分に素敵な歌声だったと思う。

 後で聞いた話では、あまり人前で歌うことは好きではないということだった。
 確かに他に歌のうまい天使たちが他にたくさん居たので、それもあったのかもしれない。
 でも一人の時はよく歌うというのを聞いたことがあった。


(歌声?)

 ミカエルの使いで出かけた帰り道、ふと気になって足をとめた。
 何処から聞こえてくるのだろうか、とあたりを見渡す。
 誰もいない。
 でもかすかにとぎれとぎれに聞こえてくる。
 この林の向こうから。

 優しい気持ちよい波動が気になって、そちらに足を向ける。
 誰が歌っているのかこっそりと確認だけしようと。

 思ったより林は深くて、森といってもよい感じだった。
 あちこちに低い厄介な茂みが多く、歩くのにも苦労する。
 そうしてようやく開けた場所に出る。
 そこは花が一面に咲いている場所だった。
 ところどころに低い花をつける灌木があり、自然で居て、でもどこか手入れされたような不思議な場所だった。 

 一瞬誰かの邸の庭にはいりこんだか、と思ったが途中に結界など何もなかったのを思い返す。
 さらにこのあたりに誰かの別邸があるとは聞いてない。
 するとやはり自然になったか、誰かがこっそりと手入れしたのかもしれない。
 
(こんな場所があるなんて)

 綺麗なその場所はツインのティが喜びそうだった。
 でもあの茂みの道を歩かせるのはちょっと、他に道がないのだろうかと思いあたりを見渡す。
 その時あの歌声が聞こえてきた。
 近い。

 同時にその声が誰のものか気付いた。
 立ち去らなければ。

 その時近くの花をつけた茂みの陰から、その人が姿を現した。

「フィン?」

 踵を返そうとして、そう声をかけられる。
 ため息を向いてそちらに向き合う。

「お久しぶりです、ザドキエル様」

 そう言って礼を尽くして跪く。

「久しぶりだね、フィン。そんなことしなくていいよ」
「いえ、大天使様に対して礼を尽くすのは当たり前ですから」

 下を向いたままそう言う。
 きっとまた悲しそうな顔をしているのだろうことは、予想がついた。
  
「でもミカエルにはそうやっていないと聞いているよ?」
「あの方の命令が、『そんなことをするな』ですから、仕方なく」
「じゃあ、フィン、命令。立って顔をあげなさい」

 そう言われて渋々立ち上がり、顔を向ける。
 少し悲しそうな顔がそこにあった。
 胸が痛む。

「君は私の子供なんだから、そんなこと本当はすることはないのに」
「いえ、ですから余計にけじめはつけた方がよいと思います」
「本当にそう言う真面目なところは誰に似たんだろうねぇ」

 ため息交じりにそう言われる。
 何も言えずに視線をそらす。

「それよりフィン、どうしたの?こんなところに来るなんて」

 言われて気付く。

「ザドキエル様の方こそ。こちらはザドキエル様のお庭でした?」

 一応ザドキエル様の邸や別邸、花園などは一応チェックしてあった。
 こんなところにあるとは聞いたことがない。

「……様はいらないんだよ、フィン。
 私の庭ではないが、ほんの少しだけ手をかけているから庭といっても差し支えないかもね。
 綺麗な場所だろ?私も最初見つけた時はびっくりしたよ」

 ため息と一緒に一言いい、そして教えていただいた。

「ここはめったに他の人が来ないから、時々息抜きに来ているんだよ。ここなら下手な歌を歌っても迷惑にならないしね」

 そう言うとザドキエル様はくすっと笑った。
 ザドキエル様はそう言うけど、この方の歌は決して下手ではない。

「そう言えばフィンは歌が好きだったよね?何か歌おうか?」

 そう言われて泣きそうな気持になる。

「いえ、使いの途中でしたのでもう行かないと。失礼します」

 そう言うと一礼してくるりと後ろを向いた。

「またおいで、フィン。ここなら人は来ないからだれの遠慮もいらないよ」

 そう優しい声をかけられる。
 それを背中に聞きながら、もと来た道を戻る。
 途中から走り出す。
 元の道に出た時にはほっと一息ついた。

 そのままミカエル邸には戻らず、ツインの場所に行く。

「フィン?」

 ティはこちらに気づいて声をかけてきた。
 それに向かって走り、その勢いのまま抱きつく。

「フィン、どうしたの?」
「…………ザドキエル様に偶然会った」

 それだけ言うと、納得したようだった。
 そのまましばらく抱きしめていた。


 あの方が嫌いなわけじゃない。
 でもあの方の子供だということが、他からの孤立をせざる得なかったのは事実。
 そのことが素直にあの方と会うことを拒んでいる。
 大好きなのに、会いたくない。
 それがあの方を傷つけるのは分かっているし、それが悲しい。

 でも会っても余計に悲しい顔をさせるだけ。
 それなら会わないほうがいいのかもしれない。
 だから出来るだけ会わないようにしていた。

******

何か読み返しただけで泣きそうな不思議な気持ちになります。
うん、歌、好きですね、フィンは。
私も嫌いじゃない、けど音痴程じゃないけど下手なので、カラオケとか苦手ですw

そう言えば一時期ボーカルスクールが気になっていた時期もあり。
合唱を勧められた事もあるな~。
かたくなに断っていたけど、まあ、機会があればですねぇ…。

それでも何故かどっかに行くと時々メロディーが口から飛び出る事があり……。
うん、上だろうねぇ。


*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。
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Comments

上でも素直に親に甘えられないんですね、大好きなのに…。
切ないですー。

エネルギー補給して、ゆっくりしてくださいね
Posted at 2010.03.16 (23:14) by さと。 (URL) | [編集]
複雑な子供心は切ないですね。どちらも大好きなのに…歩みよる事が出来ないなんて…
一度お二人でのデュエット聴いてみたい
勿論内緒のお庭で(笑)
声楽とか、合唱はやってみたいけど、おたまじゃくしが理解出来なくて(泣)一人で歌うだけです(苦笑)
Posted at 2010.03.17 (02:31) by ネコ長 (URL) | [編集]
> 上でも素直に親に甘えられないんですね、大好きなのに…。
> 切ないですー。
>
> エネルギー補給して、ゆっくりしてくださいね

上でもって 苦笑
上のパパに対しては、本体は甘えまくりなんですけどwww
フィンがまだ駄目みたいで。

エネルギー補給はだいぶ出来てます。
ありがとうw
Posted at 2010.03.17 (22:30) by たか1717 (URL) | [編集]
> 複雑な子供心は切ないですね。どちらも大好きなのに…歩みよる事が出来ないなんて…
> 一度お二人でのデュエット聴いてみたい
> 勿論内緒のお庭で(笑)

歩み寄りたいんですけどねぇ、色々と邪魔するものがありましてw
そろそろそのカルマの終了が近いみたいですw

> 声楽とか、合唱はやってみたいけど、おたまじゃくしが理解出来なくて(泣)一人で歌うだけです(苦笑)

おたまじゃくし~、は一応簡単なのは理解出来るけど、のレベルです、私も。
Posted at 2010.03.17 (22:32) by たか1717 (URL) | [編集]
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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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