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ただの物語63 潜入

うん、本当に何故時間軸通りに出てこないかが、一番不思議です。
流れとして、「出会い」の後ですね。

 これはただの物語です。
  さらっと流して下さいね? 

******

 街に着いてまず向かったのが、職業紹介所だった。
 ここの小さな町には評議会と役所が一緒の建物に入っていた。
 さらに職業紹介所はその一角に設けられている。
 街の人に教えてもらい、そこに辿り着く。
 
 身分を隠して街に溶け込むとなると、仕事をしているに越したことはない。
 但しあまり拘束の強い職種だと、任務に支障が出る。

 求人情報の端末を見ながら思索にふける。
 さて、どうしたものか。

「仕事困っているなら、紹介しようか?」
「いや、困っている訳じゃ……」

 いきなり横から声をかけられ、さらに答えようとしてそちらを睨むように見て、思わず驚く。

「ルーシェっ!?」
「や、エル・フィン」

 横に張り付いていたのは幼馴染のルーシェだった。
 それに驚く。

「お前、どうしてここに?」
「エル・フィン、それはこっちのセリフ。なんでこんなところで、求人検索なんかしているんだ?」

 言われて困る。
 そもそも学部は違えど、大学まで一緒だったルーシェは俺が軍に入ったことを知っている。
 迂闊だった。
 これでは軍の存在を隠すのが難しくなる。

「ふふん」

 にやにやしてルーシェがこっちを見ている。

「なんだよ?」
「お前のことだから、何か、そうだな気に入らない上官でもブッ飛ばして、退役してきたのかな~、と思って」
「…………似たようなものかな」

 勝手な推測にそう答える。
 その手があるか。
 知り合いが居た場合、下手に隠すよりそう言うことにしたほうが無難だろう。
 実際には上官をブッ飛ばしたのは守護龍だが、同じようなものだ。

「……マジ??」

 自分で言ったことに驚くルーシェを思わず睨む。
 
「そう言うお前はなんでこの街に居る?」
「俺?この街の評議委員になったからだよ」
「お前が?」

 思わず驚いて聞き返す。
 確かにルーシェは政治の方に興味は持っていたのは覚えている。
 だから最初の就職は確か役所関係だったはずだ。

「マールの、妻の親戚関係の縁でな。だから一家そろってここに半年前に引っ越してきた」
「それは知らなかった…」
「うん、驚かそうと思って知らせてないからな」
「質悪いぞ」

 思わず冷ややかに睨む。
 それを意に介さずにこにことルーシェは笑っていた。

「ま、そんなことだから、就きたい職があったらいくらでも言ってくれ。多少の融通利かせれるぞ」
「……それは不正じゃないのか?」
「ん~、まあ、誰にでもやるわけじゃないよ。エル・フィンなら悪用しないだろ?だからだよ」
「……」

 言われて考え込む。
 確かに変な利用の仕方はしようとは思っていないが、ある意味悪用かもしれない。
 でも使えるものは使った方が良さそうだ。

「……そう言えば、エル・フィンは教員免許持っていたよな?」
「ああ」

 アレコレ考えている最中に、ふと思い出したかのようにルーシェがきいた。
 そして就職に悩んでいた際に、念のため取っていたことを思い出す。
 
「小学校の校長からさ、教員増員の相談を受けていたんだけど、エル・フィンやってみないか?」
「小学校……」

 言われて考え込む。
 そのほうが子供たちと触れ合えるし、誘拐事件のことをより知ることが出来るかもしれない。
 着いてそうそうこの事件を調べてみたら、この街で子供の誘拐事件は単なる家出扱い、行方不明扱いになっていた。
 そもそも誘拐犯からの犯行声明がないのと、いくら何でも行方不明者続発で、対応しきれてないようだった。
 ただ捜査の動き方があまりにもいい加減で、そこも気になっていて調べたいのだが。

「そう、教員になれば宿舎も世話してもらえるし、良いことだらけだぞ」

 軽いルーシェの言い方はともかく、確かに家も探さなくてはいけなかった。
 その通りかもしれないと思いつつ、少し考える。

「確かに、そうかもしれないな」
「じゃあ、校長には連絡しておくから!今どこに泊まっているんだ?」

 ぼそりつぶやいた途端の、ルーシェの展開の速さに一瞬付いていけなくなりかける。
 この一方的なところは相変わらずだった。
 これで評議委員などやっていけるのだろうか。
 妙な心配をしてしまう。

「いや、宿はまだこれから捜すところだ」
「じゃあうちに来るか?今晩くらい構わないぞ」
「遠慮する」
「なんだよ~、少しくらい再会を祝って語りあかそーよ」
「お前、明日仕事は?」
「ある」
「じゃあ、無理だろ。翌日休みのときに付き合うから、それまで待っていろ」
「ケチ~~~~~」

 子供のように言うルーシェに頭が痛くなる。
 さらにここは役所内とはいえ、職業紹介所の中だ。
 相変わらず何かあるとTPOがぶっ飛ぶらしい。

「ルーシェ、連絡先教えろ。宿決まったら知らせるから」
「んじゃ、これ」

 そういって携帯端末の番号を教えてもらった。


 宿を決めて連絡を入れると、ルーシェが面接の話を持ってきた。
 本当に速攻で連絡を取ったようだった。
 そして時間があれば今すぐ、と言った返答にも驚く。

「書類がないぞ」
「うん、後でも良いからまず会いたいって」

 言われて指定された学校に向かう。
 珍しいことだった。

 事務局に言って名乗ると本当に校長室に通される。
 あまりの展開の速さに思わず警戒をする。
 念のため何があっても対処できるように短剣は仕込んでおく。

 扉を叩くとすぐに応えがあった。
 声をかけてから、中に入る。

「君がルーシェンス君の言っていた?」
「エル・フィン=クレインヴァーと申します」

 そう告げる。
 念のため警戒は怠らない。

「そう警戒しなくて良いよ。私は誘拐犯たちとは関係ないからね」

 校長はそう言う。
 それを怪訝に思う。

「とりあえず座ってくれたまえ」

 そうソファーを進められる。
 言われて座ると校長は向かいに座った。
 その時の歩みが不自然なのに気がついた。

「昔の伝手で軍の知人に現状を知らせたのだが、なかなか返事が返ってこなくね」
「それを何故私に話すのですが?」
「君は軍の人間だろう?」
「“元”です」
「まあ、そう言うことにしておこうかね」

 にこやかにそう校長に言い切られる。

「私も昔は軍に居てね。この足はその時なくしたものなんだが」

 そう言って片足を軽くたたく。
 そしてその音をきいて分かった。
 義足だ。

「現役のものには知られてないが、その昔の仲間とか、表向き退役した者たちが結構いろいろなネットワークを持って地方にいるのだよ。
 その絡みで今回の誘拐事件がただの誘拐や人身売買や犯罪だけじゃ終わらないのを掴んでしまったのを報告させてもらってのだ」

 言われて目を見張る。
 ではこの人たちがあのレポートを?

「ただそれがなかなか現状の裏付けが難しい。証拠も揃わずどうにもならない。
 だがこのままにはして置きたくないんだよ、子供たちのためにもね」

 言われてそのまま黙って考える。

「さて、教師が今足らないのは本当だ。教員資格は?」
「取得してます。専攻は魔法と体育ですが…」
「十分に助かるよ。では合格ということで宿舎は町はずれに用意させてもらうよ。そのほうが色々と都合が良いだろう。何時移れる?」
「明日にでも……」
「では管理人には連絡をして置く。言ってくれれば明日にでも入れるようにしよう。それと」

 そう言って校長は一枚の紙を差し出した。
 そこには一件の酒場の名前と地図が載っていた。

「これを渡しておこう。色々と便宜を図ってもらえるだろう。私から教えてもらったと言えば分るはずだから」
「……有難く使わせていただきます」
「では、まず明日もう一度こちらに顔を出してもらえるかな。午前中にでも。他の教師たちにまずは臨時講師だと紹介しよう」
「分かりました、ありがとうございます。一つお聞きしたいのですが…」

 ふと気になり言葉を繋ぐ。

「なんだね?」
「ルーシェンスはこのことを?」
「いや、彼は何も知らない。ただ単に軍に友人が居るとだけ聞いていた。そしてその友達が退役してこの町に来て、職を探していると聞いただけだ。偶然だよ」

 そう穏やかに微笑んだ。
 そう言われて本当にそうなのだろうかとちょっとだけ怪訝に思う。
 全てを見透かしていそうなそれに、複雑な心境になる。

「では失礼します。明日午前中に伺います」
「よろしく頼む」

 そうして校長室を辞去した。

 結局こちらは軍であることを認めていないが、彼は全て了承しているかのようだった。
 ならば助かる。

「教師、か…」

 学校を出て一人ごちる。
 結構複雑な心境だった。


**********

というわけで着いたばっかりのお話~。
ちなみにこの校長先生が軍のトップの方とお知り合いだったよーです。
一体どんなネットワークが出来あがっているんでしょうねぇ……。

事件そのもの捜査中は一度吐く、つーことをしています。
それだけ酷かったと……。

*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。
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Comments

意外なところに伏兵が…校長先生格好いいですねそしてルーシェさん、政治に関わってるとは思いませんでした~
Posted at 2010.02.06 (20:28) by ネコ長 (URL) | [編集]
> 意外なところに伏兵が…校長先生格好いいですねそしてルーシェさん、政治に関わってるとは思いませんでした~

ええ、こんなところに味方?が 笑
ルーシェさんは意外というか、何というか、ですね 苦笑
Posted at 2010.02.08 (19:55) by たか1717 (URL) | [編集]
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参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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