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水晶薔薇庭園館綺譚29 テス(10月下旬)

「新しい人?」

 ザイオンの提案に聞き返す。

「ああ、今まで他のステーションで働いていたんだが、事情があってこちら移って来るというのでスカウトしたんだが……。セキュリティも剣の腕前も俺より上なので使えると思うので、一度会ってみないか?」
「確かに今早急に人員を増やしたいが……」

 言われて心惹かれる。
 確かに今の状況だとどうしてももう一人はほしい。
 しかも目をつけていた奴を、統括に取られたとあっては。
 同時に今トール師が居ない状態で増やすのも気になる。
 一応許可を取りたいが、同時に自分でどの程度の人か見てみたいというのもある。

「わかった。取りあえず会ってみたい」

 そう伝える。

「じゃあ、連れてくる」
「ザイオン、そいつの名前は?」
「ああ、『テーセウス』と今は名乗っているな。隊長と同様に下が居るらしいので、仮名かもしれないが」
「テーセウス……」

 口にして何かが引っ掛かる。
 思わず眉間にしわが寄る。

「隊長?」
「いや、何でもない。何時連れてこられる?」
「多分すぐにでも」
「了解。早い方が良いな」
「連絡取ってみます」

 そうザイオンは請け負った。


 ザイオンが連れてきたそいつを見たとき、何かが微妙に引っかかった。
 暗い癖のある銀髪、暗い青い瞳、同じくらいの背の丈、そして紫がかったグレーの羽。
 向こうも同様らしく、微妙な顔をしていた。
 こちらが下が居るために、上意識の記憶がたくさんの封印されているが、相手も同じ状況のようだった。

 まずはセキュリティが出来ているか見るため、いくつか仕事を回してみた。
 あちこちの綻び。
 そうはいってもルシオラ統括が仕事をきちんとしているため、最近はかなり少ないのだが。
 無事にそれはクリアする。
 そしてそいつはすごく不満そうだった。
 顔に『何故こんな事を』と書いてあった。
 
 次に練武場へ行って剣の腕前を見た。
 最初ザイオンが相手をしたのだが、全然ザイオンでは相手にならなった。
 仕方なしに自分が剣を抜いて相対する。

 そして剣を交えてわかった。
 こいつは使える。
 気を抜くとやれそうだった。
 何とか勝つが、これは五分の実力のようだった。
 あいつと同じだ。

「よし、合格。トール統括が戻ってきたら申請して受諾されたら正式採用となる。それまで仮採用で仕事をしてもらうこととなる。すまないな」

 そう告げるとそいつは不満そうな顔をした。

「ちょっと待て。聞きたいことがある」
「なんだ?」
「お前が隊長なのか?」
「そうだ」
「天使エリアなのに、羽がない奴が上に居るのか?」
「おい、テーセウスっ!」

 慌ててザイオンが止めに入る。
 それを手で制する。

「羽の有無でしか、相手を判断出来ない無能な奴はいらないが?」
「失礼。羽を出せないような奴が上に居るのは、気に入らない。見せてみろよ」

 睨むようにしてそう言われる。
 こちらも静かに睨み返す。

「こだわるほどのことか?」
「出せないのか?それほど自信がないのか?」

 挑発されているだけだと分かりつつも、ムカついた。
 何故こいつの言い分にこれだけムカつくのも分からず、困惑もする。
 まあ、いい。
 そいつを絶対零度の視線で睨みながら、ばさり、と大きな紫の羽を出して見せてやる。

「これで構わないか?」

 そう告げるとこいつは目を丸くする。
 多分羽の波動に含まれる親の波動も感知したのだと思う。
 そう言えばこいつも似たような波動を持っているな、と気付いた。

「………フィン?」
「は?」

 言われて聞き返した途端、そいつがいきなり抱きついてきた。
 そして強引にキスをされる。
 驚いて思いっきり強く突き飛ばす。

「お前何を……」

 言いかけて気付いた。
 この波動、エネルギー……!
 逆に何故気付かなかったのか。

「……テス?」
「そうそう。やだなぁ、フィンだとわかっていたら挑発なんてしなかったのに。なんで羽隠しているの?」
「邪魔、面倒、必要ない」
「なんでこっち出しているのに気付かないのさ」
「下が居るから、記憶に封印がかかっている」
「ああ、そっか~。こっちも似たようなもんだ」
「隊長………、知り合いだったんですか?」

 いきなり和んだ空気にあっけにとられたザイオンが口をはさんだ。

「ああ、すごい古い知り合い」
「はっきり兄弟だと言ったら?フィン」
「テス……、一応何も説明してないんだが」
「兄弟って?」

 ザイオンが怪訝な顔して聞いてきた。
 思わず頭を抱えたくなる。

「しておいたら?隠せるわけないし。そう言えばいるよね、このエリアに」
「ああ、居る。部屋なら教えるから勝手に行ってこい」
「フィンさ~、一緒に行こうよ。また泣かれるの嫌だよ、俺」
「絶対嫌だ」
「まだクリアしてないんだ、それ」

 呆れかえって言われる。
 放っておけ。

「ザイオン、それは皆に一度に説明する。テス、その前に仕事のことを説明する。あと他の隊員にも紹介する」
「は~い。真面目だねぇ、相変わらず」
「普通だ」

 言われて睨む。
 くすくすと笑っているテスを見ながら、思わずため息をついた。

「そう言えばさ、いい加減に俺とツインになる気ない?」
「俺のツインはティーラだけだ!しつこいっ!」

 そう思いっきり睨んで言い切る。
 まったくここ数万年くらい、ずっと会う度にこれだ。
 するとテスは微妙な、ためらった顔になった。

「でもあの子って…」
「現在治療中!目覚めているがまだ不安定で、今居る場所から出れないが」

 ため息とともにそう伝える。

「治療、ふ~ん……」

 なんか含むような言い方だった。
 確かにこいつなら信頼できるが、またひと波乱起きそうだった。


++++++++++

つー訳でテスの登場の話。
トールさんが居ない時期なので、ハッキリわかって居ないのですが、こんな感じで。
以前に「こぼれ話2」で書いたことです。

テスのあまりにものエル・フィンへのラブっぷりに、最初めまいを起こしていた本体です。
この後たびたびアプローチを戴いてました。

ちなみにそれはつい最近まで変らなかったりして orz
昨日のリリアナの話が出てきてから、ちょっとまた変ったかな~??
微妙ですが。

どちらにしても確認しに行けないのでねぇ……。
あ、本体で入れるのか?あそこ。
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Comments

テスさん、エル・フィンさんの前では懐こくて可愛いですね
でも、泣くのって‥パパさん?
Posted at 2010.02.04 (00:23) by ネコ長 (URL) | [編集]
> テスさん、エル・フィンさんの前では懐こくて可愛いですね
> でも、泣くのって‥パパさん?

……可愛い、か??
泣くのはパパですねぇ。
滅多に会いに行きませんから、ラブコールが色々と掛かっていたころです。
今は……どうだろな??
Posted at 2010.02.04 (20:20) by たか1717 (URL) | [編集]
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参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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