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ただの物語 断片60 妖魔ハンター

どうしようかと思いつつ、一応載せます。

これはただの物語です。
  さらっと流して下さいね? 

********

 何故その時に仕留めるのを辞めたのかよく分からない。
 妖魔は者によって人を媒介としてこの世の中に存在するものが居る。
 基本妖魔はこの世界になじまないのだ。
 それを繋ぎとめるために、人に寄生させ呼び出される。

 この妖魔もその類だと思ったが、何かが違うと感じた。
 だから殺すのを留めた。

 妖魔ハンターが妖魔を殺さない、というのはかなり特殊だ。
 妖魔は仕留めないと人を面白半分に殺す。
 そして災いを振りまく。

「なぜ殺さない?」

 その妖魔はそう聞いた。
 人間の女性に近い姿をしていた。

「分からない。普通にお前を殺しても終わらない気がした」
「変わった奴だな」 

 そう言われて結局その妖魔を従えていくこととなった。
 さらにその妖魔は自分が他の妖魔を退治するときに、手伝うようになった。

「お前は人を媒介にここに居る訳じゃないのだろう?」
「そうだな。私はかなり特殊だと思う。人を媒介せずにこの人に近い姿を保てるし、魔の力も放つことが出来る。なぜか私も知らない」

 そうやってあちこち旅をして妖魔を退治し続けた。

「お前はなぜ妖魔ハンターになった?」

 ある時そう聞かれた。
 理由?
 あるようなないようなものだと答える。

「強いて言うなら会いたいからだ」
「誰に?」
「思い出せない。でも大切な人だ。妖魔ハンターでないと見つけられない」
「恋人が妖魔の媒介となって取り込まれたのか?」
「今生の記憶にはない。でもそうかもしれない」

 このことを思い出そうとするとなぜか酷い後悔がわきあがる。
 苦しくて泣き出しそうになる。

 同時にこの妖魔を見ていると不思議な気分になる。
 安心するような、悲しくなるような愛しいようなこの感じをどう表わしたらいいのか。

 そしてある時分かった。
 何故そう思うのか、直感的に。

 この妖魔の中に居るのだ。
 自分の愛しい人が。
 媒介などではなく、魂として。

 ふと、何かの折にそう口を滑らせた。
 だからそばに置いておきたいのだと。

「なら、私はその魂がなければ殺されていたのか?私はやはり憎いのか?」

 そうきつい口調で問いただされる。
 それに関して何も言えなくなる。
 実際に俺は妖魔を憎む、まで行かないがかなり嫌っていた。

 ガツン、と首を掴まれる。
 油断した。
 ここで首を絞められたら終わりだった。
 相手は妖魔だ。
 人を殺すことは何とも思わない。
 観念して目を閉じる。

 でもその妖魔はそれ以上何もしなかった。
 不思議に思って目を開ける。
 正面に妖魔の顔があった。
 まるで苦しむかのように歪んでいる。
 人だったら涙を流したいのかもしれない。
 妖魔は人でないので涙は流れない。

「殺してやりたい、殺せばそれで楽になるはずだ」

 苦しそうにそう言う。

「でも出来ない。そう、私にお前は殺せない。初めからそうだった。だから人間ごときに後れを取った。お前に生きていてほしい。私の中の何かがそう言う。だから殺せない」

 そう言って手を離した。

「ごめん」

 それだけ言う。
 どれだけ言われようとも確かに自分は妖魔は愛せない。
 でも目の前のこの妖魔だけは受け入れたいと思った。
 だが心がそれを拒否する。
 この妖魔の中の自分のツインの魂しか愛せないことに愕然とする。

 そう、他のモノは愛せないのだ。
 受け付けられない。
 その自分の歪みに呆然とする。
  
 だからと言ってこの妖魔を殺すことは出来ない。
 それはツインをも殺すことになる。
 ツインの魂だけを取り出すには自分は無力すぎた。

「酷過ぎる。だからと言って私はもうお前のそばから離れられない。そんなことをすると私が苦しむ。一緒に居るしかないのに。せめて殺してくれればいいのに」
「すまない」

 ようやくそれだけを絞り出す。
 苦しませたいわけじゃない、でも受け入れられない。
 悲しくて苦しくてどうしたらいいのか分からない。

 結局それからも自分はこの生が終わるまでその妖魔と共にあった。
 何も進展せず、何も解決しないまま。
 しかしそばに居るしか出来なくて、ただ苦しくて悲しくて。
 
 ならば今度からは側に行かないほうがいいのかもしれない。
 遠くから見守っていたほうがいいのかもしれない。
 結局ツインを悲しませるのであるならば。

 この世界から離れるときに初めてその妖魔が泣くのを見た。
 自分と妖魔は相いれない。
 それがこんなに悲しいものだとはじめて知った。

********


そして相手はまた生まれてくるのを待っていたそうです。
何度も。

何で知っていたのに側に行かなかったのか、見守ることに徹しようとするのか。
疑問に思った時に出てきたのがこれでした。

今は昔のお話です。

*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。
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Comments

切なく哀しい昔語りです…
どちらも一途過ぎて…
最後に涙を流すまでになった妖魔が可哀想で愛しくなる…
Posted at 2010.01.21 (00:29) by ネコ長 (URL) | [編集]
> 切なく哀しい昔語りです…
> どちらも一途過ぎて…
> 最後に涙を流すまでになった妖魔が可哀想で愛しくなる…

まあ、昔の話です。
今も色々悲しませてしまっておりますけどね^^;
Posted at 2010.01.21 (21:13) by たか1717 (URL) | [編集]
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