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ただの物語 断片55 作戦6

はい、さらに続きです。

 これはただの物語です。
  さらっと流して下さいね? 

********

 トップを監視付きの個室の放りこんだ後、制圧本部に戻りながらマスターが口火を切った。

「エル・フィン、君はシェーンに乗って、あの子を家まで送っていきなさい」
「は、しかしここの処理がまだ…」
「ここは後でいいよ。あの子はもう話は聞いたし、ご両親もさぞ心配されているだろうから。」

 やわらかな微笑みとともにそうマスターは言う。
 確かにそれは気になっていたことだ。
 両親は帰らない子供をもう3日も待っていることになる。
 出来るだけ早く返してあげたほうがいい。
 
「誘拐団のほうはアジトは突き止めてあるんだったね」
「はい。黒幕を焙り出すために泳がせていただけで、制圧しようと思えばすぐ」

 今度ははっきりと答えられる。

「その黒幕もほぼ断定が終わってます」

 昨日のアリシアとのやり取りで、ほぼ固まったことを報告受けていた。

「人数は足りるか?」

 デオンの言葉が気を配って声をかけてくる。

「ああ。目立たないためだろう、誘拐団の方は人数はろくにいない。俺の隊だけで一日もあれば十分だ。今のところ、気付かれた様子もないしな」

 そうマルセルが誘拐されるという失態はあったが、それはつまり向こうがこちらに気づかず、警戒をしていないということだ。

「よろしい、ではそちらも明日中に制圧してくれ。黒幕は後日、正式に証拠を持って訪問する」
「イエス・サー、必ず。失礼します」

 敬礼して言ってから踵を返す。
 その最中にゼインと連絡を取り招集をかける。
 今からあの街に帰る頃には日が暮れているだろう。
 逆にそのほうが仕事がやりやすい。
 一端軍議の部屋に戻り、携帯端末と置いておいたマントを手に取る。

(シェーン!)
(何だ?)

 心話で呼ぶとすぐに応えがあった。

(今から街に帰る。準備をしてくれ)
(了解。ここはあのいけすかない軍曹に任せればいいな?)
(大丈夫だ)

 どうやらまだシェーンはあのことの怒っているらしい。
 雑魚の捕虜の見張りを一緒に頼んでいたのだが。

 制圧本部のテントに戻ると面倒を見ていてくれた書記役の人に黙礼する。

「マルセル、遅くなってごめんな。お家に帰るよ。先生が送っていく」

 そう言うとマルセルは嬉しそうな顔をした。

「うん」

 そうして手をつないでテントの外に出る。
 少し離れたところにシェーンが待機していた。
 そちらに歩いて行くとマルセルがびっくりしたように、シェーンと俺とを見比べる。

「シェーン、客が一人いるからそれを忘れないでくれ」
『了解』
「先生、ドラゴンと友達なの??」

 驚いた様子でそう言うマルセルにふと気付いた。

「マルセルはドラゴンを初めて見たのか?」
「うん、はじめて。乗るのも。すごーい」

 抱きかかえて乗せてやりながら聞くと、目を輝かせてそう言う。
 飛び乗ってマルセルを後ろから抱えてやるような形にする。
 そしてマントを羽織り、マルセルが首だけを出すような形にする。
 いくら夏とはいえ上空に上がると気温は低く、体を冷やしかねない。
 それからスピードを考慮して風を防ぐ結界も張り巡らせる。

「エル・フィン先生」
「なんだ?」
「ドラゴンに乗ったことも言っちゃ駄目?」

 思わずその様子に苦笑する。

「さすがにみんなを載せる訳にはいかないからね。マルセルと先生との秘密にしてくれるとありがたいかな?」

 そう言うと逆にうれしそうだった。

「変に暴れるなよ。落ちるからな」
「はい」

 シェーンが翼を広げて飛び上がる。
 本来ドラゴンは翼で飛ぶものじゃない、とは聞いているがやはり翼を広げた方が飛び上がりやすいらしい。

 見る見るうちに上空へあがって行くのをマルセルは目を見張ってみている。
 確か自分も最初に乗せてもらった時は、すごいわくわくしたのを思い出した。

(街に着いたら、どこに降りればいい?)

 シェーンからの心話が届く。
 
(何時も俺のところに来る時はどうしている?)
(姿を見られないようにして、そのまますぐそばに降りるがこの状態じゃむずかしいな)
(では何処ならば降りれる?)
(裏の丘ならば。あとは学校の庭だな)

 さすがに学校にドラゴンが降りてきたとなると目立ち過ぎる。

(では裏の丘に)
(了解)

 ドラゴンで飛んでいるうちに陽が落ちてくる。
 しかし彼はそんなものは関係ない。
 ちゃんと無事に町の上空に着く。
 通常の交通機関では半日はかかるだろうが、ドラゴンでは1時間くらいの距離だ。
 その速さはこういうときは有難い。

 無事宿舎の裏の丘に降り立つ。
 マルセルを抱きかかえてそこから降りる。

「とりあえず俺はどうしていればいい?」

 人型に変身したのを見てさらにマルセルは目を丸くした。

「取りあえず家で待っていてくれ」

 そう言うと荷物とマントと上着を脱いで放る。
 この軍と丸わかりの上着だけは脱いでおかないと駄目だった。
 下のアンダーシャツだけで大丈夫なこの季節が有難い。

 マルセルの手を引いていこうと思ったが、思ったより疲労しているようなので、抱きかかえていく。
 これくらいの子供なら大丈夫だ。

「先生これ何?」

 そうして町中に向かって歩いている最中にマルセルに言われる。
 首のひもを引っ張られる。

「お守り石だよ」

 毎度作戦に出るときには必ずしているそれを引っ張り出して見せる。
 ネオンブルーの石だ。
 ツインが贈ってくれたものだった。 

「先生の目と同じ色だね」
「…そうだな」

 言われて改めて気付く。
 だからこれなのだと。
 ふとティーラのラベンダー色の瞳が見たくなった。
 この作戦がひと段落したら会いに行こうと思った。

 マルセルの家は商業地域近くの場所にあった。
 連れて訪問すると両親は目を見開いて驚き、次に泣き出してしまった。
 よほど不安だったのだろう、かなり憔悴しているようだった。

 取りあえず友人たちと出かけた先で見つけたということにし、その犯人はすでに軍に引き渡したことも伝える。
 ひょっとしたら後でまた軍が事情聴取に来るかもしれないということも。
 引き留められ、食事でもというのを友人を待たせているからと断り辞去する。

 あの様子だとこちらの下の服装が軍のモノだというのも気付かなかったかもしれない。
 家に帰る途中でゼインと行きあった。

「すみません、おととい誘拐団が動きました。最近拠点を経由せずにどこかに連れて行っているようで、足取りがおいきれませんでした」
「そちらは大丈夫だ。子供は取り返して今両親に返してきた」

 苦渋に満ちた報告にそう答える。
 怪訝な顔になったゼインにさらに訊ねる。

「他のメンツは何時そろう?」
「2時間後には何とか」

 全員が表向きの職業に着いているため、どうしてもすぐに動くことが難しくなる。
 
「了解。ではその時間に集合。一気に奴らを捕え、拠点をつぶす。動向だけはきちんと捕まえておけ」
「Yes、sar。黒幕は……」
「そちらはもうしばらく泳がしておけばいい。すぐに捕まる」

 冷ややかな怒りとともにそう淡々と話す。
 
「それに奴らの本拠地は潰してきたからな。何があっても応援は来ない。それは安心しろ」

 思わず口から出た言葉に何を感じたのか、ゼインは身震いをした。
 
「分かりました。では奴らの動向を追います」
「連絡はこの端末を使え」

 そう言って端末の一片を渡す。
 彼は頷いて離れていく。
 その姿が闇に紛れたのを見届け、改めて家に急ぎ足で戻った。
 

********

というわけで、更に街でのミッションに繋がるのでした~。
あ、ちなみに時期は夏で大祭の2週間くらい前、と言った感じでしょうか?
学校は夏休み~、なので結構融通がきいたのでした。
更に校長先生はこっちの事情知っているしねぇ…………。

*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。

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Comments

お守り、ちゃんと着けてくれてたのね♪

ありがとう。
Posted at 2010.01.10 (21:03) by 紫ふぁんとむ (URL) | [編集]
> お守り、ちゃんと着けてくれてたのね♪
>
> ありがとう。

当たり前ですw
作戦中は絶対に、そうでなくても出来る限り付けていましたよん。
Posted at 2010.01.11 (12:04) by たか1717 (URL) | [編集]
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参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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