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ただの物語・断片15

これはただの物語です。
人によっては、何か刺激されてしまうかもしれません。

でも本当にこれはただの物語です。
さらっと流してくださいね。


******

 そこはどこかの研究室。
 背後にエメラルドグリーンに光る培養ポッドが存在する。

 そこの俺は駆け込んだ。

「ペアの解消ってどういうことだよ!」

 扉を開けたとたんに叫んだ俺に、彼女はびっくりしたようなあきれたような顔をした。

「もう少し静かに穏やかに入って来てくれると嬉しんだけど」

「静かに何か出来るものか!!」

 そう静かに何か出来やしない。
 こんな一大事を目の前の彼女ではなく、なぜ別の上のものから言われなくてはいけないんだろう。

「****」

 静かに彼女が俺の名を呼ぶ。
 それだけで思わず次の言葉が出なくなった。

「だって、危険だから」

 静かに彼女は言う。
 それくらいわかっている。

「危険で、もしかしたら私がロストするかもしれないから。そうしたらあなたにまで大変なことになってしまう。そんなの私が嫌だから」

「だからって、俺に何の相談も断りもなくってなんだよ…・。酷いじゃないか」

 そう、せめて彼女から聞きたかった。
 どんなにひどい内容でも、他から聞かされる方が残酷なこともある。

 俺の声は先ほどの勢いを失っていた。
 彼女は黙って俺を見ていた。

「それの……、せいなのか?」

 うつむき加減に言った俺は彼女がどんな反応を示した見えなかった。
 でもまだ、感じる。
 ちょっとびっくりしたような、困ったような顔だ。

 解消されたとはいえ、そう簡単に一度繋がったコードは消えてなくなりはしない。
 か細いながらも、まだ感じることが出来る。

「その、後ろにあるもののせいなのか?」

 顔をあげてみればやはり思ったような顔をして自分を見ていた。

「そうとも言えるし、違うともいえる」

「******っ!」

「確かにね、最初は上からの指示だったわ。でも今はただ単にこの子が愛おしいし、守りたいと思う。
でもそうなったらどうなるかが分かってしまった。
そしてあなたに迷惑をかけることも分かってしまった」

「必ずそうなるとは限らない」

「そうね、でも出来るだけリスクは少ない方がいい。
私だけロストするならまだいい。
あなたまでロストしたら他が困るわ」

「俺にとって*****がロストしたらすごく困る。他のものもだ。自分だけなんて思いあがりだ」

「そうね」

 そう言うと彼女は微笑んで、困ったように俺を見た。
 わかっている。
 彼女の本心や気持ちはまだ嫌でも伝わってくる。
 逆を言うと彼女も俺の本心や気持ちは伝わっている。

「そんなことより今は上が色々と意見が分かれているのが心配ね。どうしても変なふうに考えてしまうものが出てきてしまうのは仕方ないとは思うけど」

 不毛な言い争いはしたくなかったのかもしれない。
 彼女はいきなり話の矛先を変えた。

「出来るだけ、この子を変な奴らに利用させたくはないわね」

「そんなにその子が大事なのか?俺よりも?」

 彼女の気持ちが片翼の俺ではなく、その子供に向いているのに思わず憎悪を抱く。
 そしてそこに居るはずの培養ポッドをにらむ。

「だめよ。そんな顔をしては。あなたも大事よ。でもこの子のことは私に責任があるの、分かって」

 彼女は俺を悲しげにのぞきこんだ。
 それだけで憎悪より悲しみの方が強くなる。

「ひとつだけお願いしていいかしら?」

 そう彼女が切りだした。

「出来るだけ頑張るつもりだけど、もし私が先に倒れてしまったらこの子を彼らから守ってほしいの」

「*****?」

「戦えって言っているわけではないわ。ただ単にこの子を元の魂の流れの中に戻してほしいの。出来るでしょう?そうしたらいくら彼らでも手は出せないわ」

 確かにそれは俺にしか出来ないことだった。

「何でそこまで……」

「あなたもこの子と触れ合えばわかるわ。すごくまっすぐで綺麗で。そうね、でも本当にこの子と会ったら、あなたが骨抜きにされるかもしれないわね」

 そう言うと彼女はくすくすと笑った。

「お願いね、****。この子を彼らから守ってね」

 そう言われて俺はうなづくしかなかった。


 そしてその嫌なことは現実となった。
 わずかに繋がっていたコードから彼女がロスト寸前にまでおいやられたことを知った。

 だから俺は彼女にお願いされたとおり、ポッドの中のその子を魂の流れの中に混ぜてしまった。
 その時のその子の輝きは確かにまぶしくて、いとおしく感じるものだった。
 彼女の気持ちがその時だけ分かった気がした。
 
 彼女はロストはしなかった。
 ただしその代りいつ目覚めるかも分らぬ深い眠りへと追いやられた。

 深い深い、今だ目覚めぬ眠りを強要されて、深い森の中で眠っている。

 そして俺はそこに居場所を失った。



******

あ~~~~、すっきりした。
ずっとあってどーしよーかと思っていましたが。

まあ、たぶん彼女がツインでしょうねぇ。
そんな感じがいたします。

ま、とらえ方はご自由に。
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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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