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水晶薔薇庭園館綺譚22 日食式典6

 大きく飛び上がったトール師からグリッド班に向けての確認の心話が放たれる。
 それに自分も答え、報告を聞く。
 
 次々とエネルギーの到達報告がなされる。
 無事にエネルギーが滞りなく通ったようだ、と思った瞬間悲鳴のような声が上がる。

(未達!)

 それを聞いて思わず眉根がよるのがわかった。
 グリッド破損の報告は聞いてないはずだ。
 どこかのグリッドに滞りがあったのだろうか?
 前日まで技術部が何度も確認したはずだが、分岐点で何かトラブルがあったのかもしれない。

 未達ポイントは2か所。
 会場から一番遠い訳ではないが、気になる個所ではあったようだ。

(049、058了解。補強する。中継用意?)

 統括から心話で問われる。
 これは自分とデセル主任に向けられたものだ。

 どちらにしてもグリッドとシンクロしたままだったので、用意も何もない。
 ただ、やるだけだ。

(OK、用意よし)
(用意よし)

 デセル主任もそれと同じようですぐに応えがある。

(デセル、エル・フィン、分身ができたばかりの君たちには、少し負荷が大きすぎるかもしれない。会場にいるほうはマリアが支えるが、彼女もそれほど余裕があるわけじゃないから)

 そう、統括から説明がある。
 もう一人のほうに影響がなければ、警備に問題は起きない。

(わかってる。転んで羽毛まりもになったら、それはそのときさ)

 冗談混じりの余裕のある声音でデセル主任が答える。
 残念ながら自分はそこまで余裕はない。

(警備本部にはシェーンがいますから、なんとかなるでしょう)

 その時の本音をそのまま言う。
 実際にこれ以上ないほど頼りになる相棒がそばにいてくれるのは心強い。

(では、行くぞ)

 トール師はそういうと大きな翼を広げて、巨大なエネルギーを召喚し、そのままグリッドに流し込んだ。

 瞬間に凄まじい圧力と光の渦が襲った。


「っ!」

 思わずめまいを起こして蹈鞴を踏みかける。
 
(大丈夫ですかっ?)

 セーラムがすかさず心話で聞いてくる。

(大丈夫だ、警備本部のほうに過負荷がかかっただけだ、すまない)

 もう一人がエネルギーの負荷で意識が飛んだことは分かった。
 シェーンがそれを支えてくれたのも。
 同時に下が急な負荷の影響を受けて、ふつうに座って居られず、倒れるように体を横たえたのも感知する。

『エル・フィン!何しているっ!』

 下の呼びかけはとりあえず無視して、そちらは更にブロックを強化する。
 こちらと繋がらなくて苛立つのを無視してグリッド報告に耳を澄ます。

(049、到達しました!)
(058到達!)

 その報告を聞き、とりあえず安堵する。
 舞台では階段が現れる。
 ここまで打ち合わせ通りだ。

(おい、そっちは大丈夫か?)
(大丈夫です。すみませんがしばらく本部お願いできますか?)

 セラフィト様からの心話にそう確認する。

(それは構わないが……)
(そちらのエル・フィンを控室のほうに運んでください)

 涼やかな声が会話に割り込む。

(銀巫女様)
(わかりました、連れていきます)

 シェーンは改まった口調で銀巫女様に伝える。

「ヒーリングをします。スタッフルームのほうのデセルもそちらに運んでいただくよう、技術部の方にお願いしました」

 直接声が聞こえる。
 気がつけば側に銀巫女様がいらしていた。

「しかし……」

 あのエネルギーを会場で支えたのはこの方だ。
 疲れているのも同じだろう。

「大丈夫ですよ、心配なさらないで」

 そうにこやかに言われて、反論するのをあきらめた。
 この方たちは出来ないことを出来るとは言わない。

「分かりました、ですが」

 周りを見渡すと会場のデセル主任は遠くにいる。
 立場上、ここのデセル主任は会場を動けない。

「そこまで道のりの警護をうちのものを付けます」

 そう伝えて会場の外にいるフィリアに話をする。
 セラフィト様の分身がいらっしゃるからしばらくは任せて大丈夫だろう。
 
「ありがとう」

 会場の扉まで送ってフィリアに任せる。

 そうして会場にいながらグリッドにつなぐ。
 事が終わった後なので、本部からでなくても大丈夫だった。
 舞台では緑の姫君が下まで降り、トール師が降りて来るところだった。

 
 ふと眼をあけると銀巫女様に気付いた。
 その瞬間、もう一人の自分と知識を共有し、何が起きていたかを知る。
 しかしまだ体の自由が利かない。

「無理するな」

 シェーンがそう伝えてくる。

「久しぶりの分身の上に、過大なエネルギーの中継を受けたんだ。もうしばらく横になっていろ」

 そういう彼はやはり大丈夫なようだった。
 同時に少し不貞腐れているようだ。

「あれは同調しているにもかかわらず、俺のほうには流れなかった。エル・フィンにだけ流れて行った。俺のほうにも来ればもう少しお前に負荷がかからなかったんだが」

 悔しそうな言葉に納得する。

「いいえ、エル・フィンは分身しているけれど、守護竜のあなたは一人しかいないのだから、倒れては困るでしょう。逆にあなたが元気ならばいくらでもエル・フィンのフォローができるのですから、よかったのですよ。あなたの咎ではありません」

 そう銀巫女様がフォローする。

「分かっています。でも悔しいんです」

 その言葉を聞きなんとなく微笑む。
 そうしてゆっくりと体を起こす。
 まだ体は重いが、かなり回復したようだった。
 
「エル・フィン」

 咎めるようなシェーンの言葉だか、無理に寝かせようとせずに支えてくれる。
 式典のほうは現在アシュタール師が演説を行っているようだ。

 ということは今度は送り出しの準備をしないといけない。
 迎え入れよりも送り出しのほうがごった返すのが分かっている。
 なおさら準備をしないといけない。

「デセル主任は?」
「先に気付いて出て行った」

 ふと気になって聞いてみると、そのような答えが返ってきた。
 向こうのほうがエネルギー的に大きいから回復も早かったようだ。
 軽くため息をつく。
 もう少しどうにかしないといけないようだ。

 その間にもヒーリングエネルギーを流される。
 ふと気になり下をうかがうと、こちらは早めに回復したようだった。
 
「ありがとうございました」

 何とか立てるまでに回復してそう告げる。
 銀巫女様ににこやかに微笑み返される。

「会場に戻られるのでしたら、シェーンに送らせますが?」

 今の自分では残念ながら護衛には事足りない。
 気になってそう聞くとシェーンから咎めるような視線が来る。

「そんな意地悪を守護竜に言ってはいけませんよ。では途中まで一緒に戻りましょう」

 くすくす笑いながらそう提案された。


~・~・~・~・~・~・~

お待たせしました~~~、とりあえず式典中はこれでおしまいです。
一応後日談みたいなのを付けたいのですが~~~、どうやることやら。

予定としては、それが終わってから、こっちのツインのことのご報告、という形になる予定です。

あ、その前に人物紹介を更新しなくては
別々に作ると面倒だから、「ただの物語」と合同になりますけどね~。
ネタばれ含むからどうしようかと思わなくもないけど……。

※登場人物などに関しましては「水晶薔薇庭園館綺譚について」をご参照願います 。

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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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