スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ただの物語 断片31 哀しい記憶2

これはツインを思い出した初めの方にあったものです。
最初これはエル・フィン時代だと思っていました。
けど違いました。

フィンネルと呼ばれていた時のもです。
そして「断片30」の数年後の話です。

 これはただの物語です。
  さらっと流して下さいね? ←


*******

 魔物の巣窟となってしまった建物を歩く。
 護符を持ち歩いているので小物の魔物は襲ってこないが、やはりそれでも飛びかかってくる者もいる。
 大抵は結界で防ぐことができる程度のものだ。
 
 奴らは大物の「研究成果」と言われる魔物たちはここを放棄する前に、嬉々として大事に移動させたと聞く。
 しかしそうはいってもやっぱり結界では足りないくらいの魔物はまだ残っている。
 奴らは「失敗体」と言われるものをすべてこの敷地内に放っていった。
 そういうのに出くわすたびに剣をふるう。

 対魔物用の特殊な剣だ。
 おかげで急所を外さなければ一発で仕留められる。
 つまり苦しませなくてよいということだった。

「“彼女”だったものが残っているとは限らないぞ」

 皆にはそう言われた。
 しかし色々な噂を検証した結果、まだここに残されているようだった。

 奴らは彼女を実験体にした挙句、中途半端に捨て去ったのだ。
 そのことにも憤りを感じる。
 だがそのお陰で自分の手で決着をつけることができる。
 奴らの手の内にある限り、自分にはどうにも手が出せなかったのだから。

 そこに行くまで一体何体の魔物を屠ったのだろうか。
 あまり体力を消耗すると困るな。
 そうとだけ思った。

 感情はだいぶ前から麻痺している。
 心も感じることを封じてしまった。
 そうしなければ生きていけなかった。
 自分の中の罪悪感だけがこの世と繋ぎとめる碇だった。

 目的の部屋に着く。
 明りの落ちた部屋は薄暗く、見分けがつかない。
 鬼火をともして部屋を探る。

 居た。

 ショートだったはずの髪は長く伸びているが、其の髪の色は変わらず判断できた。
 向こうを向いてうずくまっているようにも見える。
 そうしていると普通の人と同じように感じる。

 こちらの気配に気づいたのか振り返る。
 其の何気ない様子に彼女の名残があった。

 胸が痛む。

 顔はそのままだったが、気配や行動が既に魔のものだった。
 何を食べていたのか口の周りが汚れている。
 彼女の顔の下の体から生えた、人のものでない手が何かを握っている。

 自分を見て何を思ったのか、彼女の顔がほほ笑む。
 それだけは以前のまま。 
 そしてぎちぎちと変な音を立ててこちらに向き直る。

「ごめん、守りきれなくて。こんなにしてしまって」

 そうつぶやく。
 いくつも生えた魔物の手と足。
 打ち捨てられて魔の気によってさらに変形しまった彼女を見るのは辛かった。
 でもこれが俺に課せられた罰ならば、自分の手で決着をつけなければ。

 出来るだけ短時間で、苦しませないように。
 そう思う。

 こちらに向かって襲ってくる前に魔法陣を発動させ、足を固定する。
 更に手も動かないように縛り付ける。

 彼女だった魔物はそれに対して抵抗する意志と咆哮をあげた。
 胴体に新しく開いた牙をもった口がガチガチと音を立てる。

 それに触れない位置を保ちつつ、出来るだけ側による。
 そして彼女の顔に向かって話しかける。

「遅くなってごめん。こんなのは助けるって言わないかもしれない。でも助けにきたよ。ここから解放しに来たよ」

 彼女の顔は奇妙な表情を見せた。
 もしかしたら俺の希望かもしれない。
 一瞬だけ何か感じたかもしれない。

 魔物になっても心臓の位置は変わらない。
 そこに向かって退魔の剣を突き刺した。

 魔物が絶叫した。

 其の絶叫がやむまでそこに剣を強く突き刺したまま動かなかった。
 ゆっくりと崩れ落ちる身体。
 彼女の顔がほっと安堵の表情をしたのは気のせいだろうか。

 ゆっくり頭を抱きしめる。

「ごめん。守りきれなくてごめん」

 胸が軋む。
 約束したのに。
 こんなことになってしまって。
 自分の弱さと甘さが命取りになってしまった。

 悔恨で胸がいっぱいになる。

 だが、いつまでもそうして居られない。
 これ以上奴らが何もしないように、体を焼き尽くさなくては。

 そうして浄化の炎を放った。

******

そしてその後ようやく泣けたのでした。

でもここからも死に急いでいるような感じだったのは確か。
まだ思い出せないし、思い出したくないのかな。

この事件の背景を教えて下さった、ユージナルさんの本体さんに感謝です。

死を迎えた時、ようやくほっとしたのですが、其の後にツインの魂が魔に引っ張られて行方不明になったのを知ったのでした。
いや、この時既に知っていたのかな? ←混乱中。

故に「断片29」のような偽りの記憶を植えつけられる羽目になったような?

この辺りはまだあやふやです。

*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。
 目次更新が滞っておりますが……。

  
スポンサーサイト

Leave a comment

Private :

Comments

なんだか、少しディジーの最後と似ているのですね。。。。
お二人に沢山のハグおくります。
Posted at 2009.10.18 (19:17) by *ひなた* (URL) | [編集]
これは…たまらないですね。
一番キツイ記憶ではないでしょうか。
だから己を罰するような生き方を選ばれてきたのかな…と辛くなります。
許せる時がきて本当に良かった。
この頃を思いだそうとすると胸がモヤモヤきますが、、何だろうなこの感じは。
ずっと悪夢を見てるような感じ。
Posted at 2009.10.18 (22:41) by マッチャ (URL) | [編集]
> なんだか、少しディジーの最後と似ているのですね。。。。
> お二人に沢山のハグおくります。

ありがとう。

確かに似ているかも。
でもディジーちゃんは魔に操られていたけど、魂は無事だったのでww
頑張ってました、狭間の世界で。
Posted at 2009.10.19 (11:56) by たか1717 (URL) | [編集]
> これは…たまらないですね。
> 一番キツイ記憶ではないでしょうか。
> だから己を罰するような生き方を選ばれてきたのかな…と辛くなります。
> 許せる時がきて本当に良かった。

一番キツかったのはツインを守れなかったところですね、私の場合。
これで少しだけ自分を許し、また忘れないための罰する生き方を選ぶきっかけだと思います。
封印されちゃったけど。

> この頃を思いだそうとすると胸がモヤモヤきますが、、何だろうなこの感じは。
> ずっと悪夢を見てるような感じ。

あの~、無理はなさらないでくださいね。
直面しないといけない時にしっかり直面すればいいことですから。
それまで英気を養ってください。
Posted at 2009.10.19 (12:00) by たか1717 (URL) | [編集]
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
09 11
最新記事
FC2カウンター
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

たか1717

Author:たか1717
なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。