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紅緋古譚 番外1 Shadow&Wolf 

 廊下を歩く。
 前方に一人の男。
 そのまま無視してすれ違って、通り過ぎるはずだった。

「よお、“影”元気か?」

 そうなれなれしく肩に腕を置かれる。
 一瞥して通り過ぎようとしたら、捕まった。

「この間、抱いたぞ。おまえのお勧めの彼女」

 声を落として言われて微妙な気になる。
 安心と嫉妬と。

「すげー良かったよ。可愛くて気に入った。ついでに俺のモノ宣言しておいた」

 それならば、彼女の身の安全は確保できたも同然だ。
 これ以上ゴロツキどもに狙われず、安心できる。
 例えこいつがどんなに気に入らなくても。
 
「ふふん、なんか気に入らないって顔だな。
 そんなにお気に入りなら、自分が手を出して、モノにすればよかったのにな」
「私が何かしても、彼女を守ることにはならない。
 “狼”のものであることの方が、彼女を守る」

 それだけを絞り出す。
 そんなものかね、と“狼”は独りごちた。

 分かっている癖に。

 私など、医局に所属しているだけの戦闘員と変わらぬ立場にあることを。

「まあ、せいぜいモニター越しに指をくわえてみているんだな。
 彼女の艶姿を」

 そう言うと狼は独り歩いて行った。

***

「この間、抱いたぞ」

 そう言ってもその“影”はピクリとも表情を変えなかった。
 当たり前か。
 これくらいのことで表情が出ていたら、魑魅魍魎の跋扈する軍ではやって行けない。

 それとなく何かの折付け興味を持つように仕向けられていた。
 素直にのってやるのも癪で、でもそのまま無視するのも勿体なくて見に行った。

 最初はフツーに可愛いかな、位だった。
 からかうと反応が可愛くて、思わずちょっかいを出した。 

 抱いた時には、あんなある意味純粋培養がこんな場所にいるのが信じられなかった。
 俺との体の相性も良くて、気持ち良かった。

 一応勧められた手前の報告だ。

 奴は彼女をすごく気にかけていた。
 “影”にあるまじき行為。

 表情を変えないながらも、その内面は感じ取れた。
 そこのところの嗅覚は、我ながら外したことは無い。

「ふふん、なんか気に入らないって顔だな。
 そんなにお気に入りなら、自分が手を出して、モノにすればよかったのにな」

 思わずそう言う。
 もっともそんな事をしたら、こいつが実験体になることは明白だった。

「私が何かしても、彼女を守ることにはならない。
 “狼”のものであることの方が、彼女を守る」
「そんなものかね」

 そう答えながら、やっぱり馬鹿じゃないな、と思う。
 正式ルート以外で医局に潜り込むくらいだ、そうでなきゃとてもやって行けない。

 医局でも軍の上層部と繋がりがない限り、戦闘員と扱いは変わらない。
 どちら側に立つか、の違いだけだ。

「まあ、せいぜいモニター越しに指をくわえてみているんだな。
 彼女の艶姿を」

 そう言って俺はそいつを放して、歩きだした。
 
 さて、彼女は今は出撃中だ。
 こちらの作戦もあるから当分会うことはできない。
 
 それでもつまらない綱渡りな日常に、一つの楽しみ事が出来たのは確かだった。

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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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