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ただの物語 断片49 打診

擦り合わせが帰ってきました~。
と言うわけでまず載せれそうなもの。

 これはただの物語です。
  さらっと流して下さいね?

**********

 応援で参加した作戦が終わって、中央に戻った途端に聞こえたのは部隊長が交代するとの話だった。
 今までの部隊長は何かと他の部隊から応援要請を断れず、中隊ごとにあちこちと応援に行くことが多かったので、それが減ればいいや、くらいの感覚だった。
 誰が上に立とうとも軍とはそういうものだという割り切りもある。

「よお、聞いたか?新しい人事は」

 午前中に報告書完成して提出した後に昼食を摂っているとデオンがやってきた。
 空いていた正面に座る。

「いや、まだだ」
「今の部隊長が異動して、新しく着くのはアルディアス=L=フェロウ准将だそうだ」
「…へぇ」

 確かつい最近まで大佐だったはずだ。
 ということは先の出陣で功績をあげたということだろう。
 昨日まで戦場に居たせいもあり、まだ功績による昇進人事記事をチェックできずにいた。

 報道は一通り聞いているが、あれは半分くらいでっち上げ、大衆向けに操作されているためあまり信用していない。
 逆に軍の中で広まる噂のほうが意外に正確な情報を含んでいることが多い。

 ただその人の噂はたくさん流れている。
 階級が上がるに従って、下に対して横柄ともいえる対応になるものだが、その人はまるっきりそう言うことがないとか、下士官にも分け隔てなく接するとか、よく同じ寮の人間や同じ中隊の人間は一緒に飲みに行くとか。
 幸か不幸か同じ部隊に居るのだが、所属中隊が違うため一度も同じ戦場に立ったことがなく、違う寮に入っているため、どこまで本当なのか確かめようがないのだが。

 ただ同じ戦場に立ったものが同じように言うことが一つ。
『普段は穏やかだが、いざ戦場に立つと鬼神のような強さを発し、敵を制圧する』
というものだ。
 さらにここに色々と話があるのだが、どこまで本当なのかは全く見当がつかない。
 何せそれは、その人ともう一人だけで敵艦を制して情報を奪取しただの、一人で何十人もの相手を倒しただの普通では考えられないものばかりだった。
 普通に考えると尾ひれ背びれとしか思えないのだが。

「少しは変わるのかね?この部隊の雰囲気は」
「さあな。通常多少の変化はあっても、さして大きな違いはあるまいさ」
「そうだな」

 デオンは以外にもあちらこちらと部隊を転々としているらしい。
 その経験をもとに言う言葉は重みがある。
 しばらくは黙々と食事をとる。
 午後からは実地訓練が入っているため、戻ってきた早々、と他の隊員たちは文句を言っていたが、しっかり食べておきたかった。
 デオンは左右を見渡してから低い声でと言いだした。

「ただな、先ほど昨日までの応援として参加した先の部隊が俺たちを引き抜きたい、と密かに打診してきた」
「……なんだそれ」

 こちらも小声で返す。
 デオンは現在小隊長を務めている。
 ただしいくつかの小隊が結集した場合の中隊長として立つ立場だ。
 昨日までの別部隊の作戦で、応援とはいえ行きづまっていた作戦会議で提案をし、その作戦が見事に当たって功績を収めたため、かなり感謝されていたのを思い出す。
 応援部隊など時にはただの補助的なモノとしか見なしておらず、軽く見ている人も多い。
 それを考えると確かにあの隊長もかなり見る目と下を認める器の持ち主だった。
 上手くいけばデオンは今回さらに昇進するだろう。

「今こちらの部隊長が交替になるだろ?部下を完全に把握してない隙にいい人材をもらっていきたいようだ。
 実際に応援要請というのは何処にどんな人材が居るのかを把握するいい方法だしな。そうやってあの人は自分の部隊を動かさずに他の部隊借りることで人を見ているようだ」
「ふうん、なかなかそうすると部隊の上に立つのも大変だな。変な人材を貸せばここどまりかと見下される。逆にいい人材を貸し出せば引き抜かれる危険性もある」

 にやりと笑って言うデオンに、こちらも笑ってそう指摘する。

「但し良い人材の上司への忠誠度が高ければそんなもの一蹴して終わりだけどな」
「自分への信頼度のバロメーターにもなるわけか……」

 基本的には交代したばかりの部隊長に対しては、実際に同じ戦場に立ったことがあるもの以外はお手並み拝見、という気分でいるのは間違いない。
 残念ながら部隊の半数は同じ戦場に立ってないか、立ったとしても違う配置で戦うため実際のその人を見てはいない。

 さらに他部署からの引き抜き要請も当人が受諾してしまえば、よほどの理由がない限りほぼ引き留めることは不可能だった。

「今のところ俺とお前、フェーンとカイザー、ブラウン、マルスの6名に打診が来ている」
「ほぼ全員じゃないか」

 さすがのことに呆れる。
 小隊は基本8人編成になっており、そのうちの6人とは恐れ入る。
 しかも半分がドラゴン部隊だ。
 ドラゴン部隊の人数はは基本それほど多くはない。
 この部隊では計10名しか所属していない。
 ドラゴンと何かしら契約している人が2重籍のような形でさらに小隊に各1~2人配属されているのが普通だ。
 うちの隊が特殊例として3人入っている。

「最初に3人、しばらくして3人、後はうまく人事を動かして全員を引っこ抜きたいようだ」
「お前はそれでいいのか?」

 改めてデオンに訊ねる。
 幸か不幸か今現在俺たちの側に来るやつはいない。
 でなければこんな話は出来っこない。
 
「俺は何処で戦っても同じだ。信頼できる戦友と器の大きい上司が居ればな」

 彼独特の朱色の瞳をきらめかせてそう言い切る。
 確かにそうかもしれない。
 ただその部署に異動すると中央からは離れることになる。
 それが微妙に引っかかった。

「こちら空いてますか?」

 いきなり声を掛けられてそちらを見る。
 管理部の奴だ。
 誰かは知らないが制服でそう判断する。
 襟の階級章はそれでも自分たちより上位だ。

「どうぞ、もうこちらも終わりますから」

 実際には話している最中にせっせと食べ、デオンも俺も終わっていた。
 時間があったのと話の内容が内容だったので席を立たなかっただけだ。

「いやいや、そういうわけじゃ」
「残念ですが自分たちは午後から訓練が入ってますので、失礼します。行くぞエル・フィン」
「ああ、失礼します」

 そう言ってデオンと一緒に立つ。
 食器を返却口に返して、廊下を連れ立って歩く。

「珍しいな、管理部の奴がこっちの食堂に来るなんて」

 ぼそりとそうつぶやく。
 自分たちが居たのは訓練設備に近い食堂だ。
 必然的に下士官や一般兵士が多い。
 管理部や総務部のそばにももう一つ食堂はある。
 基本そちらを使うほうが早いのだが、混んでいたのだろうか。
 
「……お前、もう少し自分の容姿がどういうものか考えたほうがいいぞ?」

 ぼそりとそうデオンが呟く。
 言われて良く分からず眉間が寄る。
 
「物好きが居るな」
「……」

 一言で返したら妙な顔をされた。
 まあ、良い。
 それより引き抜きの話だ。

「デオン、とりあえず俺のことは保留にしておいてくれ」

 そう言うとデオンはにやりと笑った。

「ま、取りあえずまだ正式な話はない。どうなるか分からないから仮定の話だ。しばらく忘れていろ」
 
 そして俺たちは訓練のために武装準備に入った。

**********

これは「陽の雫 13 部隊」辺りを読んだ時に出てきたものです。
直接アルディアス様をしらない下の人間なんてこんな感じです。

そしてデオンさん達は引き抜かれていったのでした~。
こっちはその前に事件に巻き込まれ、直属になったので残ったのですが。
そちらは「断片20 出会い」をご覧くださいませw

*これの目次などにつきましては「ただの物語について」をご参照ください 。
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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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