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ただの物語20 出会い

時間軸的には「出立」の2・3年くらい前かと思うんですが……。
私の中では別名「爆弾其の3」と命名してあります(笑)

これはただの物語です。
 さらっと流してくださいね?


******

 かちゃん、とロックが解除される音が響いた。
 俺は横になっていた寝台から体を起して、縁に座る。
 寝心地は良くなかったが、静かにゆっくり出来たのは良かったと半分考える。
 そうでなければこの寒い独房に丸一日いるなど出来やしなかっただろう。

「釈放だよ、出ておいで」

 そう扉を開けて言った人に目を見張る。

「なぜ、貴方が……」

 次期○○○○と名高い人が目の前に立っていた。

「一応私が君の所属部門の最高責任者だからね」

 と、理由にならない理由を述べて手招きをする。
 それに従って外に出ると、規律委員の人間が苦虫を噛みつぶしたような顔で立っていた。
 しかし最高責任者が何か言うと、不満そうなまま、先に戻っていく。
 それを見て、最高責任者はついてくる様に俺に促した。
 その後姿を追って外へと向かって歩く。

「彼らは一応生きているよ。ただやはり事が事なのと、どうやら潜在被害者が男女ともに結構いるようで、彼らが降格もしくは除隊されるのは間違いないと思う」

 後ろについて歩きながら説明を聞いて、ふうん、と思う。
 まあ、生きていてよかった。
 あれで死なれたらこちらが迷惑だった。

「それと君については独房入りしたことでこれ以上の罰則はなしということになる。そもそも君は被害者だからね。調査委員もどうやら彼らのことは薄々気づいていて、どうするか考えあぐねていたようだから、結果的には諸手をあげて感謝したいようだ」

 それを聞いてもっと早く処分に乗り出してくれればこちらが助かったのにな、とも思う。

「だが、半殺しにしたことは正直やりすぎだと思うのでね、しばらく地方に行ってもらうこととなる。見た目は左遷になるのかな」
「シェーンは……一緒ですよね?今何処ですか?」

 気になって相方のドラゴンのことを聞いてみた。

 そもそもあいつらが変に言い寄ってこなければよかった話だ。
 断ったことに逆恨んで腹を立て、数に任せて俺を襲って犯そうというのが腹が立つ。
 俺一人で十分に再起不能にできたのだが……。
 両腕をつかまれたところで、シェーンが通りがかり、怒りのままに力を振るったのは誤算だった。
 それにより命の別状を気にしないといけないこととなった。

「今は水晶の封印の間に封じられているよ。残念ながら、彼のほうが罪が重い。彼は一緒に行くことは難しいだろう。行き先が小さな街なのでね。連絡係としてこちらに留まってもらうこととなるだろう」

 水晶の封印の間。
 それは特殊能力の高いものを封じておく場所だった。
 まあ、ドラゴンを他に閉じ込めておく場所など、自分も思いつかないから人を半殺しにした以上は仕方ないのかもしれない。

 それより仕事内容も気になった。
 小さな街に赴任など、それは十分に左遷だろうと思う。
 更に契約ドラゴンと引き離されるなど、独房入りよりもひどい罰だ。

(私としては、あんな恥知らずどもは制裁を受けて当然だと思うし、君を表彰してやりたいくらいなんだけどね。これ以上君をかばうと、私を降ろしたがっている連中が喜ぶことになる。こんな地位には未練も執着もないが、次に座るのが彼らの身内というのはどうにも後味が悪い)

 不意に届いた心話にびっくりする。
 まだ独房区域内であり、こんなところで心話ができる人がいるとはは思ってもみなかった。

 そもそもここは脱獄防止の為に心話は勿論、その他通信機器の使用も不可となっている。
 ここに勤務の隊員だけが特殊回線による通信機の使用を認められているだけなのだ。
 こちらが驚いたことに気づいたのか、彼は軽く笑ったようだった。

(この程度の結界、私には何の意味もないよ。君の心話を受けることも問題なくできる。しかしそれには君へのアクセスが必要だから、嫌ならばイエスのときは右肩を、ノーのときは左肩を回すか叩くかしなさい。独房でなまった身体をほぐすふりをしてね)

 そう言われて、改めて目の前を歩く人の能力の高さを再認識する。
 色々とうわさは流れてきていたが、それは何の枝葉も誇張もない事実が大半なのだろう。
 ここまで出来たら誇張も枝葉も付きようがない。

 俺はアクセスを許諾する意思を伝え、さらに失礼にならないように、心話で答えてみた。

(貴方を降ろそうとする? 前を歩く規律委員もですか?)

 彼らは深い事情を聞こうともせずに事実を全面に押し出して、強引にしかも嬉々として俺を独房に押し込めたのを思い出す。

(そう、彼もあの一族さ。あの集団の前科と被害者をざっと洗い出して、君の釈放は承諾させてやったが、ひどく嫌々だったな)

 ようやく私の尻尾をつかんだと思っていたのだろうよ、とおかしげに彼は続けた。

 そのことを聞かされて、納得した。
 権力者の子弟であることをかさにきているあの集団の頭と、またそのおこぼれをいただこうと周り群がる連中。

 であれば前を歩く、周りの認める実力で地位を築いたこの人を目の敵にしている連中と繋がっていてもおかしくない。
 なにしろ、下士官の人気は圧倒的に彼にあるのだから。

 同時に下っ端とはいえ彼の部門に属する自分が傷害沙汰を起こしたのだから、連中にとってはまさに好餌だったのに気がついた。
 今後もう少し上の方まで人間の背後関係を把握する必要があるな、と思う。

 それが顔に出たのだろうか、独房区域を出てしばらく行くと最高責任者は執務室につくと招き入れた。
 中に入ると秘書がいたが、その人に何か言って席を外させた。

 彼は執務机に座ると机の書類の山からある束を取り出して、こちらのほうに向けた。
 失礼してそれを手に取り目を通した。
 理解した内容に思わず眉間にしわが寄る。

 これが本当なら大変なこととなる。
 しかも街の評議委員会は何をやっているんだ?
 何も気づかず放置しているほど無能ではあるまい。

「残念ながらこれの裏付けは出来てないので、表だって動くことが難しい。だからといって放置しておくわけにもいかない。やってくれるね?」

 穏やかな言い方であり、形は依頼だが完全に命令だった。
 受けないわけにはいかなかった。

「わかりました」
「ではこれにより、君は今日付けで私の直属の部下という扱いになる。それは心得ておくように。それから部下を5人選んで連れていくこと。彼らも同様に身分を隠して街に潜入してほしい。
 出来ればなるべく早く出発ができるように、至急人選と報告を上げてほしい。期間はこちらの通達が行くまで何年でも。いいね?」
「わかりました。明日にも出発できるようにします。」

 そう言ってだれが適任かを思い浮かべる。
 大丈夫だろう。

 昨日の段階では待機となっており、すぐに動けるはずだった。
 少なくても自分だけでも明日には出立しないといけない状況なのも把握していた。
 最高責任者自らが独房に赴き下士官の自分を解放したなど言うネタは、この方の足元をすくいたい人間にとって良い攻撃材料だ。
 逆に「左遷した」となればその厳格な処遇に対し一切の口を挟めなくなる。

 その思いが通じたのだろうか。
 最高責任者はふわりとほほ笑んだ。
 その心からのやわらかな笑みに内心驚きを禁じ得なかった。

「助かるよ。では餞(はなむけ)として、シェーンと心話を繋いであげよう。直接中継するが、他の人には内緒だよ」

 机に肘をつき、唇の前に軽く指を立てたその人の言葉に、失礼ながら一瞬耳を疑った。
 近くならともかく、こんなに遠く離れた執務室から、しかも水晶の封印の間をつなぐなど通常はできるわけがない。

(エル・フィン、今回は悪かった)

 が、届いた心話は確かに自分のパートナーのものだった。

(いいんだ、シェーン。俺を守ろうとしてくれたんだから。だけど……すまない、少し離れることになってしまった)
(知っている。だが、ほとぼりが冷めたらお前を追ってゆけるようにすると、その人が言ってくれた。一、二年はかかってしまうだろうが……ドラゴンにとっては、そのくらいはまばたきの間だ)

 それを聞いて思わず目の間にいる人を改めて見直す。
 もちろん中継していただいているため、この方に会話は筒抜けで、目が合うとその青灰色の瞳を片方、いたずらっぽく閉じて見せた。
 なんて人だろう。

 手回しの良さと行動力に改めて敬意が湧き上がる。

(そうだな、俺にはちょっと長いけど、会えなくなった訳じゃないから)
(いざとなったら強引でも会いに行く。ここの規則や処遇など本当はどうでもいい。エル・フィンが居るから付き合っているだけだ)

 あまりの本音に思わず目眩がする。
 下手すれば本当にここを全滅させてでもシェーンは俺の元に来るだろう。

(申し訳ないけど、それは付き合ってくれ。すまない、明日には俺は出発するけどおとなしくしていてほしい)
(わかっている。そこにいる人に敬意を表して下手なことはやらない。だが傍にいないことは十分に気をつけてくれ)
(わかった。大丈夫だよ)

 とりあえずそこで会話を終了する。
 あまり長いのもこれ以上聞かれるのもさすがに忍びなかった。

「ありがとうございました。では準備に入ります」
「では頼んだよ。期待している」
「失礼します」

 そう言って俺は執務室を後にした。


******


そーゆーわけであの街に潜入したのでした。

なんかもう時間軸バラバラなのでそのうち一覧でも作ろうかな。

ちなみにこれwakka○さんの質問から引っ張り出されたものなんですけど、ここに出てくる最高責任者さんがどなたやらに似てましたので、確認したところビンゴ!でした orz

その時の原本は短かったのですが、そちらの思い出していただいたことを踏まえて書き直したのが、これです。

それはたぶん上司筋でそのうち発表されるでしょう…………。
つーか、なんというか……。
好きで爆弾を送っているわけではありません。
そこのところ宜しくです。

※これの目次等は「ただの物語について」をご参照ください。

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Author:たか1717
なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
妄想かもしれないこの話、楽しんで頂けるとありがたいです。

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