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江戸的昔噺 3

これはただの物語です。
さらっと流して下さいね。

++++++

 毎月1回に近くの天神様に参ることを習慣にしていた。
 人の少ない、お祭りの無い晴れた日を選んでいく。

 そしてそこの天神様にお願いするのだ。

 ウチに来る子が少なくなるように。
 今いる子たちのいく末が、幸いなものになるように。

 そう言っても自分がそんな事を願うこと自体が、とても恐れ多いのかもしれない。

 あの子たちを「教育」する事によって、生計を立てているのだから。

 しかし願わずにはいられない。

 今日もお賽銭をいれ、鈴を鳴らしてあの子たちのいく末を祈る。
 ささやかな願いだ。

 聞きいれてくれるとよいのだが……。

「おや、またいらしたんですね」

 そう宮司さんがお参りのおわった俺を見咎めて、声をかけてくる。
 その中に少しばかりの侮蔑が含んでいるのを無視する。

「ええ、こちらの神様にお願に。どれだけ聞き届けてくれるかわかりませんが」

 そう言って笑う。

「うちの神様は、ちゃんとした人にはちゃんと願いをかなえてくださいますよ。願いがかなわないなら、その人がそれまでの人なんです」

 言われて苦笑する。
 そうかもしれない。

「でも自分の事じゃないんだけど、無理かな?」
「その人次第でしょうね」

 そう言うと、周りを見回して、いきなり小声になる。

「もし、貴方が辞める気でしたら、こちらも協力をします」

 いきなり言われて、驚く。
 そして見返すと真摯な瞳とぶつかる。
 覚悟をした目だ。

 確かにこの辺りで大きな家でもあるわが家に逆らうのだから、それ相応の覚悟はあるのだろう。
 もっとも神社自体が別の管轄でもあるのだが。

「彼に頼まれた?」
「ええ、それもありますが……。いえ、貴方が決心したらこっそり来てください」

 そう言うとまたいつもの少し見下す目になる。

「まったくよくノコノこ来れるものですよね、貴方は」

 彼がそう言うのと、他にお参りの人が来たのと同時だった。
 なるほど、そう言う訳か。

 町の人の手前、と言うものがこの宮司にはあるらしい。
 仕方ない。

 そして周りを見渡し、他に誰もいないのをがっかりした気持ちで確かめた。

 今日も彼女を見ることは出来なかったか。

 仕方なしに鳥居をくぐって境内を出ようとした。

「宮司様」

 その時後ろで涼やかな声がした。
 振り返ると一人の巫女が、あの宮司に何か話をしていた。

 彼女だ。

 以前何か祈祷の折に、彼女の舞を見た。
 綺麗で目を奪われた。

 言葉を交わした事など無い。
 自分にそんな資格があるとは思えない。

 でも一目見たいと思っていた。
 だからこの天神様にお参りに来る。

 でも声をかける事などしない。
 見かけることができればそれで幸せだった。

 すると、その巫女は何を感じたのか、こちらを見た。
 視線があう。
 慌てて視線をそらして、鳥居をくぐり、境内を出る。

 びっくりした。

 胸がバクバクしている。
 まさか装束を来てない彼女でも、あんなにきれいだとは思わなかった。
 足早に歩いて、立ち止まる。

 でも彼女の顔が見れて、嬉しかった。

「よお、兄さん、今日は買ってかないの?」

 声を掛けられびっくりする。
 いつもの飴細工屋だった。

「はは~、兄さん、なんかよっぽど良いことあったんだねぇ。顔がほころんでいるよ」
「そ、そうかな」
「ほら、声がどもっている」

 そう言ってからかわれてしまう。
 きっと顔も真っ赤になっているに違いない。

「ちょっとだけね。今日は3ツ貰おうか」
「へぇ、何にします?」
「犬と鳥と蝶は出来るかな?」
「お任せください」

 そう言うと飴細工やは手際よく作り上げる。

「毎度みごとなもんだねぇ」
「それが商売ですから」

 ほれぼれとして言ったら、そう返される。
 代金を払って飴細工を受け取った。

「またよろしく~」

 愛想良くそう言われて、いつもの飴屋を後にする。
 そのまま家に帰る。
 そうそう寄る場所もないし、そんなに長く出かけていたら、翌日また寝込んでしまう。

 しばらくして家に帰る。

「ただいま」

 そう言うと女の子たちが出てきた。

「お帰りなさい」
「お帰りなさい、兄さま」

 行儀よく迎える。
 それに微笑む。

「裁縫は終わったの?」
「終わりました」
「綺麗に出来たので、兄さまにも見てほしいです」
「まだ下手だけど…」

 一番最近に来た子がどもりながらそう言う。

「最初はだれでも下手だよ」

 そう言うと、少しだけ微笑んだ。

「そうそう、お土産」

 そう言って飴細工を渡す。

「ありがとう、兄さま」
「ありがとうございます」
「ありがとう、綺麗」

 口々に言って、嬉しそうで、それを見てこちらも嬉しくなる。

「さて、お裁縫を見せてもらおうか」
「はい、兄さま」

 3人について奥の部屋に入って行った。

++++

取りあえずこちらは一端打ち止め。

後は未だ物語になって無いのでww
気が向いたら続きが出てくるかも、です。

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江戸的昔噺 2

ただのお噺です。
さらっと流して下さいね?

++++++


 珍しく長兄が俺の家を訪問していた。
 通常は呼び出されることが多いので、驚いた。

 更に驚いたことに、長兄は土産だ、と言って風呂敷を置き、広げた。
 どさり、と置かれた書物に目を見張る。
 珍しい蘭学の本だった。

「珍しいモノが手に入ったんだ。好きだろう?
 お前一人では持ちきれないだろうから、持ってきた」

 そう言って笑う。

「あと、精のつくものも手に入ったから食べろ。
 @@@に渡してある」

 あまりのことに、言葉が出ない。

「何かありましたか?」

 気になって尋ねてみる。
 長兄が俺にこんな風に何かを持って、訪問すること自体が普通じゃない。
 何が大事があって、頼みに来たのだろうか?

「いや、大したことじゃない。
 旦那衆の一人がすごくお前の育てた『奉公人』を気に召してな。
 礼がしたいと言うので、お前が本が好きだと教えただけだ。
 そうしたらこれと珍しい食材をを持ってきた」
「そうですか……」

 軽くため息をつく。
 『奉公人』が幸せな環境にいくかどうかは、自分ではなんともし難い。
 でもわざわざ礼をしに来たのなら、気に入ってくれたのだろう。
 それならば大切に扱うはずだ。
 その事に少なからずほっとする。

「それとな、あいつに怒られた」

 苦笑交じりに言う「あいつ」が誰か思い当たって、苦笑する。

「めちゃくちゃ言われましたか?」
「めちゃくちゃどころじゃないな、表で文句を言われそうになって、慌てて奥へと通したくらいだ。
 あれじゃ俺が弟を顎で使う冷血漢の用だったぞ」

 そのことを思い返したように笑う。
 それくらいじゃ本来この長兄は痛くもかゆくもないはずだった。

「それと……、一つ言っておこうと思ってな」
「何ですか?」
「お前、外に好いた女の一人でもいないのか?」

 あまりのことに目が点になる。
 そんな事をこの長兄が言いに来るとは思わなかった。

「いや、その、お前にあいつを押し付けてしまったし……、他に好きな女の一人でもいるなら、囲うなりなんなり幾らでもしていいからな。
 結局お前の自由にさせてやれる事など殆どないのに、気付いてな」

 そう、視線を外して言う。
 あいつが何を言ったか分かったような気がした。

「いませんよ、好きな女なんて。そんな暇も出会いもないし。
 それに夫が小さい女の子相手に何をしているか知って、心穏やかに居る女などいませんしね」

 笑いながらそう言う。
 今の妻が平然としているのは自分の好いた男じゃない、と言うこととまるきり関係がないことに尽きる。
 それと先代の叔父の教育で育ったこともあるかもしれない。

 本当に縁とは奇妙なモノだ。

「そうか…」

 それだけ言うと長兄は口をつぐんだ。

「後で妻に今晩あらためて礼を言いに行かせます。たまにはゆっくりしてください」

 その意図する内容に気付いて、兄は呆れたようだった。

「お前、本当に手を出してないのか?」
「あの子たちの教育で、そんな暇ありませんから」

 そう言ってにっこり笑う。
 兄は複雑な顔をしていた。

「兄(あに)さま、よろしいでしょうか」

 その時ふすまの向こうから、女の子の声がした。
 丁寧な口調だ。
 それは合格点をやれるな、と思う。

「なんだい?」
「兄さま、お手前を見ていただきたいのですが、いかがでしょう」
「今お客が来ているから部屋で待っていなさい」
「はい、分かりました」

 そう言うとその気配は去って行った。

「兄さま、と呼ばせているのか……」
「ええ、それが叔父から受け継いだ約束の一つですから」

 こちらの家業の詳しい話はこの長兄にも次兄にもしていない。
 それはこちらの稼業を引き継いだもののみ、知っていることだからだ。



 兄を玄関先から見送った。
 そして気付く。
 ふすまの向こうでじりじりと待っているのを。

「こら、お客様を覗くなんて、してはダメだよ」

 ふすまを開けて、そこに張り付いていた3人の子に注意する。

「ごめんなさい、兄さま」
「早くお手前を見ていただきたくて」
「今のは旦那さまでは無いのですね?」

 それぞれが口にする。

「違うよ。お前達の旦那様が来るのは、もう少し後だよ。
 お前たちがちゃんと色々と覚えてからだよ」

 微笑みながらそう言う。
 彼女たちはほっとしたような、残念そうな顔をした。

「さて、お手前を見せてもらおうか。部屋に戻ろう」

 そう言うと嬉しそうに、俺にまとわりついてきた。
 そのままその子たちが習字をしていた部屋に行った。

+++++

ちなみに、妻とは兄の愛人さんですねぇ。
体裁その他いろいろあって、妻として娶ったという形にしてます。
お世話はしてもらってますが、夜の営みはありません。

一応3人兄弟ですが、上二人とは母親が違います。
それもあって昔は色々あったみたいです。
身体が弱かったのも、ありますし。

その為物静かな本の好きな青年になったのでした。

当時はこんな感じでした。

江戸的昔噺 1

昔話です。
さらっと流して下さいね?

++++++

 その子が「旦那様」に引き取られていくのを家から見送った。
 重いため息が出る。
 仕方のないことだとわかってはいるものの、嫌悪と無力感で一杯になる。

「よお、大丈夫か?」

 いきなり後ろから声を掛けられて振り向く。
 幼馴染がこちらに入ってくるところだった。

「なんだよ、いきなり」
「いや、また、ここから出ていく子を見かけてさ、お前さんが気になったんだよ」
「大丈夫だよ」

 思わず微笑みを作ってそう言う。

「何処がだ?青い顔をしているぞ。今にも倒れそうだ」

 覗きこんでそいつはそう言った。
 思わず笑う。

「大丈夫だよ。大丈夫じゃなきゃ、こんな商売やってられないよ」

 そう言うとそいつは怒ったような顔をした。

「お前さ、今からでも足洗ったらどうだ?こんな商売お前には向いてないぞ。
 何なら俺が色々と手配して、分からないように匿って逃がすことも出来るぞ」
「それでどうなるんだい?俺が居なくなったからと言って、商売がなくなるわけじゃない。
 下手したら子供たちはもっとひどいところに連れていかれて、辛い目にあうだけじゃないか」
「しかしな…・」
「座っていい?」

 話を続けようとするのを遮って、庭の縁側の方を指す。
 そいつは取りあえず黙って頷き、後ろからついてきた。
 縁側に座ると思わずほっと息をつく。

「やっぱり大丈夫じゃねぇじゃねぇか」

 それを見咎められ、怒られる。
 こいつは本当に変わらない。
 幼いころの兄貴分のまま、俺に接してくる。

 裏家業を継いだ俺に普通に接してくる奴は居ない。
 みんな距離を取り、遠巻きに見ているだけだ。

「大体なぁ、お前の兄貴たちの表家業は順調なんだろ?そしたらこんな裏稼業は辞めちまえばいいんだ」
「無理だろうねぇ。表は結構色々と左右されるし、不作になればかなりの打撃だ。
 逆にこちらは不作が起きれば売り込みが多くなって、忙しいからね。
 二つが支え合って保っている家だからなぁ」

 一番上の兄が表の商売を継ぎ、二番目の兄がそれを補佐している。
 更に2番目の兄がこちらの商売の仲介をやっている。
 そう言う家の裏表のからくりを説明をする。
 こいつは嫌な顔をしながらそれを聞いていた。

「ふん、何ならその二番目の兄貴がこの仕事をすればいいんだ」
「そんなことしたら、女の子たちは『旦那様』のところのいく前に、壊れちゃうよ」

 思わず苦笑してそう言う。
 二番目の兄は女でやれるなら、年齢は関係ない人だった。
 表の問屋家業の奉公に来た幼い女の子に手を出して居るのは、働いている誰もが知っている秘密だった。
 そしてその乱暴な扱いも。
 だから女の子の奉公人が来たら、出来るだけ2番目の兄の側に行かせないように気を使っていた。

 だからこちらに預かる子も、直接こちらに連れてくるように言ってある。
 商品価値の説明をしたら、商人であるその兄は自分の欲望を優先して、売り上げを落とすより、高く売って遊郭に遊びに行く方が得だと計算したようで、それを守ってくれている。
 
「お前なぁ……、だからと言ってお前が貧乏くじ引くことなかろう」
「まあ、そうとも言うかな」

 思わず縁側で後ろに倒れ込む。

「でもさ、何を言っても、何をやっても、俺がここにいなくても、あの子たちを救う事なんて、出来ないんだよね。
 既に旦那衆の慰みモノになることが決まっているんだもの。
 あの子たちのいく末も決めることも出来ない。
 どんな扱いや運命が待っているかもわからない。
 俺に出来るのはここにいる間に、出来るだけこれからの生活を苦痛に感じないように、大事にしてあげることだけなんだよね……」
「……だから読み書きや行儀作法をも教えているのか?」

 告白に、そいつは低い声で尋ねた。

「うん、読み書きができれば、飽きられたり、『使いもの』にならなくなっても、価値があるから殺される可能性が少ないし。捨てられてもなんとかなるからね。
 行儀作法が出来ると、結構それだけで珍重してもらえるのもあるかな。
 だから妻も裁縫を教えたりしているし。
 お陰で評判はいいんだよ」
「だからって、お前が苦しむ必要ないだろう」

 そう言われて苦笑いをする。

「良いんだよ。きっとこれは報いなんだよ、俺の。
 きっと前世ですごい悪い事をしたんだよ。
 だから今、こんなことをしているんだと思う」
「何が報いだ。覚えてもねぇ前世のことで、なんだ今お前が苦しんで、地獄に行かないといけないようなことをしなくちゃいけないんだ。
 不条理だろう」

 完全に仏頂面でそいつが行儀悪く足を組み、そう悪態をつく。
 
「おれたちはなぁ、苦しむ為に生れて来たわけじゃないんだぞ。
 お前は家を飛び出して、やりたい事をやっても良いと思うぞ」
「やりたいことねぇ」
「何かないのか?」

 言われて考える。

「やりたこことねぇ。
 そうだな、こんな家業じゃ無かったら、子供たちに読み書きやそろばんを教えたかったかな。
 男の子たちが暴れたりいたずらするのを叱りつけ、女の子たちのおませに苦笑しながら、過ごしたいなぁ」
「そういう子ども好きなお前が、こんな仕事をしているのはやっぱり不条理だ」
「そうやって怒ってくれるのは嬉しいな」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!」

 そう言うと照れたみたいに怒られた。
 その時、客が来たみたいだった。
 二人連れで一人が小さい子のようだった。

「ああ、新しい子が来たね」

 そう言って起き上がる。

「じゃあ、俺は帰るな。辞める気になったらいつでも声を掛けろよ。なんとかしてやるからな」
「うん、ありがとう」

 そう言って幼馴染は別口から出ていった。
 俺は新たな客を迎える為に戸口へと向かった。


++++++++++

女衒のにーちゃんをやってました 苦笑
しかも扱うのが10歳以下の女の子って、何だよ。

これが出て来た時しばらく落ち込んで、受け入れきれなかったな。
今はもう大丈夫だけどね。

ちなみに名前は出てきません。
三郎とかそーゆーベタな名前だったと思いまふ。

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なに見え遠足三期生です。
参加した後に起こった色々な「上」及びその関連のことを書いてます。
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